黒田新総裁が放った“異次元”の金融緩和策で、日銀は本格的なデフレ脱却に乗り出した。こうなると気になってくるのが“インフレ”だ。アベノミクスによる株高の影響で景気回復感は強まっているが、デフレに慣れ切った日本人は、どんな対策を取るべきかを考えてみたい。【後編】

⇒【前編】“インフレに強い”投資法を考えてみた
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◆インフレに強い不動産。J-REITには弱点も


 地価の上昇もインフレを示す重要な指標だ。国土交通省が発表する公示地価や、国税庁が発表する路線価のデータでチェックできる。

「地価の下げ幅が縮小してきてはいますが全国的にはまだマイナス。これがプラスに転じれば本格的な地価上昇が始まるでしょう。不動産はトレンドの周期が長いので、10年程度は上昇が見込めます」(フィスコでアナリストを務める小川佳紀氏)

関 大介氏 株だけでなく不動産にも投資すれば長期的な上昇相場に乗れるのだろうか。J-REITのように少額から購入できる金融商品なら、不動産投資は決して夢ではない。J-REITに詳しいアイビー総研の関大介氏はこう説明する。

「確かに不動産はインフレ局面に強い。物価上昇でお金の価値は下落しても不動産価格は上昇するからです。しかもJ-REITなら賃貸収入を配当として分配するので、家賃が上がれば分配金のアップも期待できます」

 いいことずくめに見えるJ-REITだが、関氏はこう警告する。

「そもそもJ-REITは値上がり益よりも賃貸収入がもたらす安定的な配当を得るための金融商品。ところが、最近の急騰で利回りが低下し魅力が下がっています」

 昨年秋までは5%を超えていたJ-REITの利回りは、アベノミクスによる急上昇で3%台まで下落。価格が上昇しても分配金は変わらないので利回りは悪化しているのだ。事実、J-REITに投資する投資信託の中には新規買い付けを停止するものも出てきている。国内の機関投資家も利回りの低さに買い入れを躊躇するようになっているという。

「賃料も一緒に上昇すれば利回りは維持できますが、不動産価格の上昇に賃料の上昇が追いつくには2年程度はかかります。J-REITは値動きが軽いうえ、日銀が買い入れを拡大するので今後も上昇する可能性は十分ありますが、安全を重視するなら景気が回復して賃料が上がり始めてからでも遅くはない。不動産に投資するなら、今はJ-REITより不動産株を狙うほうが得策かもしれません」

 上がっているからと言って安易に飛びつくのは禁物。タイミングを見極めながら賢く投資し、インフレ以上の利益を狙いたい。

⇒【グラフ】東証REIT指数とTOPIXの推移はコチラ
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東証に上場するJ-REITの全銘柄の値動きを表す東証REIT指数はTOPIXを大幅に上回る急激な上昇を見せている。特に'13年に入ってからの急騰ぶりはすさまじい
【上図】東証に上場するJ-REITの全銘柄の値動きを表す東証REIT指数はTOPIXを大幅に上回る急激な上昇を見せている。特に'13年に入ってからの急騰ぶりはすさまじい


【インフレ度をCHECKできる要素】

・消費者物価指数
商品やサービスの価格変動を表す指数で毎月発表される。確定値が公表されている'13年2月までは4か月連続でマイナス

・公示地価
国土交通省が毎年3月に公表。5年連続前年割れだが、都市部では底入れの兆しも。国税庁が7月に発表する路線価も参考になる

・TOPIX
東証一部に上場する全銘柄の動きを表す株価指数。225の銘柄を用いる日経平均株価よりも外国人投資家の注目度が高いとされる


【小川佳紀氏】
フィスコ情報配信部株式アナリスト。岡三証券を経て'09年にフィスコ入社。個別銘柄分析を担当。日本証券アナリスト協会検定会員

【関 大介氏】
アイビー総研代表取締役。不動産投信情報ポータル『JAPAN REIT』(www.japan-reit.com)。不動産投資商品の市場分析などを手がける

取材・文/森田悦子
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