黒田新総裁が放った“異次元”の金融緩和策で、日銀は本格的なデフレ脱却に乗り出した。こうなると気になってくるのが“インフレ”だ。アベノミクスによる株高の影響で景気回復感は強まっているが、デフレに慣れ切った日本人は、どんな対策を取るべきかを考えてみたい。


◆鉄板は銀行・証券・不動産株。デフレの出口見えれば一段高も


小川佳紀氏 日本の株式市場はいよいよ本格的なバブルの様相を呈してきた。強力な金融緩和策、いわゆる“黒田砲”の威力で株価はさらに上昇し、大手企業の中には賃上げを発表するところも出てきている。

 しかし、こうした賃上げの恩恵を受けられる人はごくわずかだ。今後金融緩和の効果でインフレが進めば物価は上がるが、収入がそのままなら生活はむしろ苦しくなる。加えて長期金利も過去最低の水準にあるので、虎の子の預貯金も一向に増えないのだ。フィスコでアナリストを務める小川佳紀氏は以下のように語る。

「政府が目標とする2%の物価上昇が実現しても、賃金の上昇がそれに追いつくのに2~3年かかると考えられます。その間の実質的な収入は下がることになるので、インフレ局面で上昇する株や不動産に投資するなどして、資産を防衛する必要があるでしょう」


◆アベノミクスは'05年「プチバブル」!?


 どうせ投資するなら、インフレに強い銘柄を狙いたい。小川氏によると、アベノミクス相場の行方を占うには、'05年に小泉純一郎率いる自民党が「郵政選挙」で圧勝し、金融緩和や構造改革への期待感から日経平均が1万2000円台から1万8000円台まで上昇した「プチバブル」での値動きが参考になるという。

「金融緩和でお金が回れば、まずは銀行、証券などの金融機関が恩恵を受けます。地価も上昇するので不動産関連銘柄もメリットが大きい。'05年当時もこうした業種の株価が急上昇し、みずほホールディングスの株価は半年でほぼ2倍になったほど。今回の金融緩和の規模は当時をはるかに上回るので、これらのセクターは鉄板といえるでしょう」

 加えて、高額消費の回復が期待できる百貨店関連も上昇期待は大きいという。円安が進行しているのも、投資家にとっては追い風だ。

「景気回復期待が大きいアメリカにも注目です。ダウ平均株価が史上最高値を更新するなど株高が続いており、過去のデータによれば最高値更新後も2~3割は上昇が続くことが多いようです」

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◆脱デフレの指標となる数値の動きを見逃すな


 脱デフレはまだ実現していないにもかかわらず、これらの銘柄はすでに急上昇している。今から買い始めるのをためらう人も多いだろう。

「確かに、現状の株価は5~6割程度の増益は織り込んで上昇していると考えられ、期待だけで今後も上がり続けるのは難しいかもしれません。しかし、物価目標を達成できる見込みが出てくれば、インフレは期待ではなく現実に近づくわけですから、株価はさらに上に向かうと考えられます」

 デフレからの出口が見えてくれば、まだ上昇の余地はある。物価水準を判断するには、総務省が毎月発表する消費者物価指数が参考になるだろう。

「消費者物価指数は現状ではマイナス続きですが、これが連続してプラスとなれば脱デフレが近いということになります」

 ちなみに、株価はいわゆる“節目”を突破すると一気に買いが入って上昇する傾向があるが、市場全体の節目を意識するならTOPIX(東証株価指数)がおすすめだという。

「日本人は日経平均株価ばかりに目を向けがちですが、市場の主役である外国人投資家はTOPIXを重視しています。これまで1000ポイントの節目で何度も押し戻されてきましたが、“黒田砲”でこの壁を突破したことで外国人の中では買い安心感が広がったようです。今後、節目を超えるようなことがあれば、日本の株式市場は新たな局面に入るのではないでしょうか」


【小川佳紀氏】
フィスコ情報配信部株式アナリスト。岡三証券を経て'09年にフィスコ入社。個別銘柄分析を担当。日本証券アナリスト協会検定会員

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