◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏

“黒岩田”日本銀行は第1回金融政策決定会合からアクセル全開となった。市場は円安に反応し、連動して株価も大幅続伸。順風満帆に見えるアベノミクスだが、裏側に「資本逃避」という恐怖が迫っていることを忘れてはならない


◆インフレ予想で進む円安&株高。これらの宴はいつ終焉を迎えるのか


 黒田東彦総裁、岩田規久男副総裁の日本銀行新体制は4月3、4日の政策決定会合で大胆な金融緩和策を打ち出した。マネタリーベースを年間60兆~70兆円のペースで増加させること、国債やETFの購入額を今後の2年間で2倍にすることなどを決めたのである。

 摩訶不思議であるのは、この新機軸の政策方針を決定会合の9人の議決権のあるメンバーが全会一致で決めたことだ。白川総裁体制の6人の審議委員全員が残留したにもかかわらず、まったく異なる政策方針に反対投票がなかった。このような審議委員なら、高い人件費を払って専門家を起用する必要はないとも思われる。総裁の提案に必ず賛成するロボットをメンバーにしておいたほうがずっと安上がりだろう。

 それはさておき、新しい政策方針によると、1年間の日本政府の財政赤字よりも多い金額の国債を日銀が購入することになる。実体的には、財政法が禁止している国債の日銀引き受け以上の措置を日銀が取ることになる。激しいインフレを引き起こす方向に、日銀は前のめりになったというわけだ。

 本当に日本のインフレ率が急上昇する方向に事態が進展するなら、為替レートは順当に円安に振れる。今は、インフレ予想が円安傾向を強めているにすぎないといえる。

 日経平均株価は'12年初以来、円ドルレートに完全連動している。円安進行が株価上昇をもたらすことは、この関係から見て、順当である。

 本欄でも述べてきたように、日経平均株価は1万6000~1万7000円の水準に急騰してもまったくおかしくない。株価上昇はどのような背景でも政権の追い風になるから、安倍政権は当面は引き続き順風を受けるだろう。

⇒【後編】「怒涛の円安はキャピタルフライトを起こす」に続く
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植草一秀氏【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ」「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。近著に『金利為替株価大躍動』(ビジネス社)