異次元の黒田日銀総裁による金融緩和を受けて、円安見通しが急拡大しています。ただそんな「黒田円安」見通しについて、「誤解」されていることもあるのではないかと私は考えています。


◆「黒田緩和」の2013年末110円、2014年末130円説は正しいのか?


吉田 恒氏「黒田緩和」を受けた円安見通しについて一般的な説明として使われるのが、<資料1>でしょう。これは、日米の中央銀行の資金供給量の差、ベースマネー比率とドル/円のグラフを重ねたものです。こんなふうに2009年以降のドル/円は、ある程度中央銀行の資金供給量で説明できます。

 そしてその「量」は、異次元の「黒田緩和」を受けて、2013年末110円、2014年末130円のドル高・円安を示唆するものになりました。このため急速に円安となり、それはまだまだ続く可能性があるという解説になるわけです。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=421382
<資料1>

 ただ、2009年以降のドル/円は<資料2>のように、日米2年債利回り差でもある程度説明できるものでした。このように見ると、2009年以降のドル/円の動きは、中央銀行の資金供給量の影響もあったのでしょうが、やはり金利差の影響を受けた結果だったわけです。

 さて、その金利差は、ここにきて為替相場と大きく乖離しています。「黒田緩和」で「量」は大幅な円安を示唆したものの、金利差の裏付けがないままだとしたら、それでもその大幅円安が現実になるかは、やはり微妙ではないでしょうか。

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=421385
<資料2>

 為替相場が勢いづいているときには、理屈で説明できない、非論理的な動きになることはよくあります。ただ、だからといって、ずっと非論理的な動きが続くわけではなく、あくまで一時的なものでしょう。

 <資料2>の金利差が示すほどにドル安・円高に戻るということではないでしょうが、金利差で説明できず、ましてや逆行したドル高・円安の継続性には、やはり自ずと限界があり、一段のドル高・円安には、米金利上昇を受けた日米金利差拡大が必要になってくると私は考えています。(了)
 

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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