吉田 恒氏 黒田新日銀総裁の初の金融緩和は、ポジティブ・サプライズとして、大幅な円安、株高をもたらす衝撃の結果となりました。さすがに、これまですでに記録的に進んだ円安、株高が、この「サプライズ」をもっても一段と進むには限界があると思いますが、ただもう円高に戻るリスクは一段と消えつつあるのではないでしょうか。


◆長期の金利差拡大で中長期投資家のドル買いは拡大


 今回のサプライズの最大の目玉は、日銀の購入対象を、予想以上の長期債としたことでしょう。それは、確かに中長期投資家の対外証券投資拡大は、後押しが期待されるものだと思います。

 今回の日銀の会合で、40年もの債券までを購入対象とし、債券購入の平均残存期間を、現行の3年から一気に7年にするとしたことは、事前の予想を大きく超える「サプライズ」でした。日本の10年債利回りは、この発表直後に過去最低を更新する動きとなりましたが、それはまさに「サプライズ」を示していたといえそうです。

 こんなふうにより長期の円金利が低下することは、長期の日米金利差ドル優位拡大をもたらすと考えられるわけです。日米金利差も2年債利回り差など短中期金利差は、最近でも依然として昨年の最高をドル優位が上回るに至っていませんが、<資料>のように、長期の金利差ドル優位は昨年の最高を上回る動きとなってきました。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=417928
<資料>

 これは米長期金利上昇より、日本の長期金利低下の影響が大きいでしょう。日銀が長期債券購入を拡大し、長期金利が一段と低下することは、そんな日米長期金利差ドル優位拡大を後押しすることが期待されるわけです。

 そんな長期金利差ドル優位拡大は、中長期投資家が一段と米ドルなど外貨運用を拡大することを後押ししそうです。こんなふうに見ると、目先的な円安への影響はともかく、新年度に入った日本の機関投資家による外貨運用拡大によって、円高を阻止する観点では、今回の「黒田サプライズ」の意味は確かに小さくなかったでしょう。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/