吉田 恒氏 アベノミクスの大黒柱は金融緩和の強化で、その担い手が黒田新日銀総裁であることから、「アベクロ」と呼ばれています。今週は、その黒田新日銀総裁による金融政策決定会合が予定されています。いよいよ始まるアベクロを一転90円割れのドル安・円高が急襲する可能性はないでしょうか。


◆試される「安倍円安」の本格調整


 ちょっと気になるのは、移動平均からの乖離率などで見ると、最近にかけてのドル高・円安はかなり記録的な動きとなっていたということです。過去、今回に近い記録的なドル高・円安が一巡した後は、調整のドル反落も相応の規模で起こっていました。

 では、2月下旬の「イタリア・ショック」で、一時91円割れとなった動きで、それが終わったかが、今試されているということではないかと私は考えています。

 <資料>は、ドル円の90日移動平均線からの乖離率です。今回この乖離率は2月上旬にかけて一時プラス10%を上回りました。<資料>のように、1981年以降で見る限り、乖離率がプラス10%以上に拡大したのはこれまで3回しかありませんでした。その意味では、今回のドル高・円安は、過去のトップ3に迫る記録的な動きだったといえるでしょう。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=415249
<資料>

 過去のトップ3では、乖離率拡大が一巡した後、つまり記録的なドル高・円安が一巡した後は、短期間に7%前後のドル反落となっていました。これに対して、今回は、2月25日の「イタリア・ショック」で94円台後半から91円割れとなる場面がありましたが、それでもドル反落率は4%程度にとどまっていたわけです。

 今回の記録的なドル高・円安の調整の動きはあの「イタリア・ショック」で終わったのでしょうか。ちなみに、この間のドル高値、96円台後半から7%前後のドル反落になるなら90円割れ含みのドル反落が起こる計算になります。

 こんなふうに見ると、最近のドル安・円高は、記録的なドル高・円安の調整がまだ終わっていないかを試している動きだろうと、私は考えているのです。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/