日経平均は、’13年年初から約20%も上昇した。しかし、ドルベースで見ると、実はそれほど上がっていないという。株高で幸先よい滑り出しとなった安倍政権だが、その命運は改革相場に繋げていけるかどうかにかかっている!


◆ドルベースで見ると、日本株はそれほど上がっていない。円安相場から改革相場になるか!?


(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)

 安倍政権によるアベノミクスで、日本株は年初から20%も上昇した。アベノミクスを簡単にいうと、日銀にお金をたくさん刷らせて、インフレを起こそうというものだ。

 日本の銀行は預金を集めても貸出先がなくて、仕方なく国債を大量に保有しているのだけれど、日銀がこの国債を大量に買い取るのである。普通は何かを買うときにその分のお金を用意しないといけないが、日銀だけは自分でお金を刷れるので、国債を買うとその分の現金が新たに刷られることになる。これが「量的緩和」である。

 実は、量的緩和は日銀が脱デフレを目指し散々やってきたが、効果のほどは定かではなかった。銀行で貸出先がなくてほとんど金利がゼロの国債となって寝ていた資産を、日銀がやはり金利がほとんどゼロの現金に置き換えるだけで、実質的には何も変わらないからだ。「お金を刷る」というが、日銀は民間の銀行と金融商品の取引をするだけで、刷ったお金をみんなに配るわけじゃない。残念!

 アベノミクスは、この量的緩和をもっとたくさんやってみよう、ということなのだけれど、もし本当に将来インフレになるなら、まずインフレ予想を織り込む国債の金利が上がるはずだ。しかし、日本国債の長期金利はとうとう0.6%を切ってしまい、歴史的な低水準になっている。実は、国債を取引している人たちはプロばかりで、量的緩和でほとんど何も変わらないことを知っているのだ。

 ところが、為替と株式市場では、アベノミクスがすごく効いた! 僕は、これは為替や株式のトレーダーが、量的緩和が何なのかよく理解していないからだと思っているが、ニセ薬でもとにかく効いたのだ。円が大量に刷られるから円の価値が下がる、という連想で為替は円安方向にずっと動いてきた。また、株などの資産の価値は相対的に上がる。輸出産業が多い日本は、円安になると企業業績がよくなるという期待もある。アベノミクスはこうしてインフレ期待と円安を起こし、株式市場を盛り上げてくれたわけだ。

⇒【後編】「ドルベースで見ると日本株はそれほど上がっていない」に続く
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藤沢数希氏


【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは7万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中