吉田 恒氏 短期的にはこのままドル高・円安が100円を一気に超えていくのは微妙ではないかと私は考えているのですが、中期的にはまだまだ、ドル高・円安基調は125円程度を目指す道半ばにあると考えているので、今回はその理由を述べたいと思います。


◆日本経済の構造変化で円安限界水準も変わった


 1973年の変動相場制度移行から、ドル/円相場は、一時的な例外を除くと、基本的に日米卸売物価基準の購買力平価がドル上限となってきました。しかし構造変化が起こる中で、この購買力平価より年々ドルは上ぶれが目立ってきました<資料>参照。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=406413
<資料>

 むしろドル高・円安局面では、よりドル高・円安の計算になる日米消費者物価基準の購買力平価に接近するようになってきたのです。この購買力平価は足元で125円程度。今回のドル高・円安は、すでに足元95円程度の日米卸売物価基準の購買力平価を上回る動きになってきましたが、最終的には消費者物価基準の購買力平価への接近が焦点になりそうだと私は考えています。

 では、なぜこのように購買力平価とドル円の関係が変わってきたのか。これは、日本の輸出競争力低下などの構造変化の影響が大きいと考えています。<資料>を見ても、過去20年間に起こったドル高・円安基調では、卸売物価基準の購買力平価からのドル上ぶれ率が趨勢的に拡大してきたことがわかるでしょう。

 <資料>の中で、唯一の例外は1980年代前半。これは、インフレ対策でFRBが政策金利を10%以上に引き上げるという高金利政策を採用した結果の異例の現象の中で起こったものでした。

 これに対して、今回のドル高・円安基調では、日本経済の構造変化を受けて、卸売物価基準より約3割ドル高の計算になる消費者物価基準の購買力平価に接近する可能性がありそうだと私は考えています。

 私は、記録的な円高の反動で、今回の円安は、これまでの最長記録を更新する4年以上も続く可能性があると考えているのですが、その価格的な目標は、消費者物価基準の購買力平価が位置する125円程度を考えています。

 ドル高・円安は日米卸売物価基準の購買力平価まで戻るものというのが、これまでの基本でした。ところが、それはよりドル高・円安という結果になる日米消費者物価基準の購買力平価まで戻る動きに変わってきた可能性があるということです。それこそは、構造的な日本経済の対外競争力低下を反映しているということでしょう。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/