吉田 恒氏 日銀の総裁、副総裁の新しい顔ぶれがほぼ固まりましたが、では、日銀新体制は、どんな追加緩和を行うのでしょうか。そのヒントは、2月19日に公表された1月22日の日銀金融政策決定会合の議事録にあったのかもしれません。


◆なぜ2月中旬にかけ円金利一段の低下となったか!?


 この中では、「資産買い入れ基金で購入する国債の期限を、現在の満期3年までから5年までに延長する案」(日経新聞、2月20日付け)が議論されていたのです。

 「これを受け、19日の債券市場では5年債利回りが0.130%と過去最低を記録。10年債利回りも下がり、次の一手を先取りする取引が進んでいる」(同)とされます。

 <資料>は、ドル/円と日本の2年金利のグラフを重ねたものです。これを見ると、安倍総理の金融緩和強化発言に反応する形で円相場の下落が昨年11月以降大きく進むのを尻目に、当初、日本の2年金利は横ばいが続きましたが、それも年明け以降大きく変わってきたことがわかるでしょう。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=396765
<資料>

 1月22日が、世界中から注目を集める中で、日銀が2%のインフレ目標採用を決定した会合が行われた日でした。それを期待する形で、ついに日本の2年金利も新たな低下に向かったということでしょう。

 ただ、そんな金利低下は、22日を境に一旦反発に転じました。2%のインフレ目標を決定したものの、いわゆる「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト」という反応になったといえそうです。

 ところが、すぐに金利低下が再燃すると、2月12日には0.02%まで、そして19日にも0.03%まで大幅な低下となったのです。この19日とは、上述のように1月22日の会合で、買い入れ基金で購入する国債の期限延長の議論があったことを示した議事録が公表された日でした。

 以上のように見てくると、一つのキーワードは「買い入れ国債の期限延長」でしょう。金利市場には、1月22日の金融政策決定会合に向けて、それが決定されるとの観測があり、それで市場金利も一段の低下に向かったのでしょう。だからこそ、それが議事録公表で確認されたことで、「バイ・ザ・ルーマー、セル・ザ・ファクト」の展開になったのではないでしょうか。

 これまで見てきたことからすると、日銀新体制で行われる4月以降の会合で、最初に決定される追加緩和は、買い入れ基金で購入する国債の期限を5年、場合によっては7年まで延長することで、より国債の購入を拡大するといった内容になるのではないでしょうか。

 日銀はこれまで長い期限の国債購入に慎重でした。保有している国債が償還される前に金利上昇、価格下落が起こると、日銀が損失を被るリスクがあるからです。その意味では、より長期の国債購入を、日銀新体制が決断するということは、相応のインパクトはあるものでしょう。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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