吉田 恒氏 日本のFX、個人の為替取引では、世界の基軸通貨・米ドルよりも、むしろ豪ドルが人気ナンバーワン通貨となっていました。もしかしたら、そんな豪ドルと米ドルの人気逆転が始まるかもしれません。


◆豪ドルの「高所恐怖症」


 そう考える理由の一つは、豪ドルもさすがに100円の大台が接近するところまで上がってきたことで、高値警戒、「高所恐怖症」が強くなってきたということがあります。

 <資料1>は豪ドル円の5年移動平均線からの乖離率を見たものです。これを見ると、豪ドルは5年線からの乖離率がこれまでプラス30%を大きく上回ったことはありません。そんな乖離率は、実は、豪ドルが100円に接近すると、プラス20%近くに拡大します。そして105円を超えるとプラス30%に到達する計算です。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=378882
<資料1>
 以上のように見ると、過去に経験したことのない豪ドル「上がり過ぎ」拡大とならない限り、100円前後になってくると豪ドルはかなり「上がり過ぎ」懸念が強くなってくるといえそうです。

 今度は、<資料2>をご覧下さい。これは豪ドルの対米ドル相場の適正価格の目安である購買力平価からの乖離率を見たものです。これを見ると、豪ドルの対米ドル相場は、適正価格の目安より4-5割も割高になっており、つまりこれまで経験したことのないような異例の割高になっていることがわかります。

 さっき見た豪ドルの対円相場が「高所恐怖症」にあるどころの話ではなく、<資料1>からすると、対米ドルでの豪ドル高は「バブル」かもしれないとすら思えるでしょう。一体なぜこんなふうになったのでしょうか。

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=378883
<資料2>

◆空前の豪ドル高・米ドル安は変わるのか!?


 それは世界一の超大国、米国の経済力が衰退する一方で、中国に象徴される新興国、そして資源国の相対的な地位の向上といった構造変化も一因でしょう。もう一つ、循環的な変化として、ここ数年の金融危機の中で米金利も含めて空前の水準まで低下した影響はあったのではないでしょうか。

 歴史的な米金利低下を受けて、豪ドル高・米ドル安も、過去になかったほど拡大し、一種の「豪ドル高バブル」になっていたということではないでしょうか。そうだとしたら、歴史的な米金利低下が循環的に上昇に転じると、豪ドル高・米ドル安も修正に向かう可能性があるでしょう。

 <資料1>で見たように、円安が進む中で、豪ドルの「高所恐怖症」が米ドルなど他の通貨に対して異常に強くなっているとしたら、それは<資料2>で見た豪ドルと米ドルの「異例の関係」の影響があったのではないでしょうか。

 その「異例の関係」、つまり空前の豪ドル高・米ドル安が、循環的な米金利上昇への転換によって変わっていくなら、日本のFXで豪ドル円から米ドル円へのポジションの移行が起こっていく可能性も注目されるのではないでしょうか。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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