昨年末から年初にかけ、為替が円安で推移している。歴史的な円高から急激に円安が進んだように思えるが、ビッグマック指数や実質実効為替レートで考えると、実は“歴史的円高”ではなかったということがわかるのだ


◆ビッグマックで見れば、円は売られすぎ。実効為替レートで考えれば今までも円高ではなかった


(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏)

 為替レートの適正な水準を考える方法はいくつもあるが、根本的にはモノの値段で決まると考えられる。お金というのはなぜ価値があるかというと、それは結局、お金でモノを買えるからにほかならない。米国でリンゴが1個1ドルで、日本でリンゴが1個80円だったら、同じリンゴから見ればこの1ドルと80円が同じでなければおかしい。よって1ドル=80円というように為替レートが決まる。

 例えばここで、為替レートが1ドル=100円だったらどうなるだろう? この場合、日本でリンゴを80円で買って、それを米国で1ドルで売ると、為替レートは1ドル=100円なので、1個売るごとに20円儲かる。こうやって為替レートが適正になるまで貿易会社は儲け続けるので、結局1ドル=80円という儲けが出ない水準に落ち着くのである。これが購買力平価説という為替レートの適正水準を計算する理論である。もちろん、現実の世界は輸送費もかかるし、関税もあるし、そもそもサービスの多くを輸出入することが不可能だ。よって、購買力平価説のとおりに為替レートが動くわけではないが、長期的な適正水準を考える場合の指針になる。

 英エコノミスト誌がビッグマック価格から理論為替レートを計算している。さて、日本ではビッグマック単品が320円、米国は4.33ドル、ユーロ圏平均では3.58ユーロである。ここから計算される為替レートは、1ドル=74円、1ユーロ=89円。つまり、ビッグマックから見ると、円は現在の為替レートよりももっと高くなってしかるべきで、最近の円安は行きすぎであるといえるのだ。

【後編】『最近の円安には警戒が必要』に続く
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藤沢数希氏【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは7万人に及ぶ。最新刊『外資系金融の終わり』(ダイヤモンド社)が発売中

― 実効為替レートで考えれば今までも円高ではなかった【1】 ―