吉田 恒氏 何か、最近「欧州危機」の話を聞くことがめっきり少なくなったような気がしませんか。これまでも聞いたことがなかったという人はともかく、今年の世界経済にとって「最大の黒雲」としてのしかかっていた欧州危機が一服したら、円安になって株高になるかもしれないという話を述べてみたいと思います。


◆欧州危機の「風とともに去りぬ」


 <資料1>は、スペインの2年債と10年債の利回り、つまり金利です。これが7月にかけて高騰し、10年金利は一時7%を上回りました。10年金利が7%を上回った状況が続くと、スペインは財政破綻するといった危機に陥ったわけです。経済規模で見ると、ユーロ圏でも第4位の大国、スペインの破綻危機こそが、今年の欧州危機の主役でした。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=354820
<資料1>
 ただ、そんなスペインの金利は、8月以降低下に向かい、最近は、危機が始まった春以前の水準まで戻ってきました。これを見ると、スペインを主役に展開した欧州危機は、かなり落ち着いたといえるでしょう。

 冒頭にも書いたように、欧州なんて行ったこともないし、自分には関係ないと思っていたのに、やたらとテレビや新聞でも「欧州危機」の話を聞かされてきたのが、そういえばいつの間にか聞かなくなったのは、こんな背景があったということですね。そしてそれこそが、為替の円安や株高などを通じて、もっともっと関係してくることになるかもしれないのです。


◆円安、株高と欧州の「本当の関係」


 <資料2>は、そんなスペイン金利を逆さまにして米金利と重ねたものです。これを見ると、米金利とスペイン金利は、今年春以降、つい最近まで強い逆相関関係が続いてきたことがわかるでしょう。

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=354821
<資料2>
 米金利は歴史的な低下傾向が今年続いてきたわけですが、<資料2>を見ると、それはスペインのせい、つまり欧州危機が主因だったようです。そうであれば、そんな欧州危機が一段落したら、歴史的な米金利低下も変わっていく可能性が高いでしょう。

 <資料2>を見ると、スペイン金利と米金利の逆相関関係も、最近は少し崩れていますが、これはいわゆる「財政の崖」問題という米国固有の問題の影響が大きいのではないでしょうか。逆にいえば、この「崖」が一段落すると、米金利は大幅な上昇に向かう可能性がありそうです。

 米金利の歴史的な低下のなかで、ドル高・円安がなかなか進まなかったのも理解できるところでしょう。そうであれば、そんな米金利が大幅な上昇に向かうなら、ドル高・円安もいよいよ広がる見通しになりそうです。

 なるほど、円安なら日本株も上がるなと思う人も多いかもしれません。ただ、私からすると、金利上昇こそ、日本株高の最大の根拠になるのではないかと思っています。株価について、「業績相場」と「金融相場」という考え方がありますが、前者は株と金利が同方向に動き、後者は逆方向に動くのが基本です。

 ところで、日本株は典型的な「業績相場」とされます。そうであれば、歴史的な金利低下局面で日本株が最も低迷していたのもわかるし、そして金利上昇局面は日本株が世界的な割安修正を本格化する局面ということでしょう。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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