吉田 恒氏 総選挙は、事前の一般予想通り、自民党の大勝となりました。これに対して、ついにドル高・円安は、3月の記録を更新する展開となりました。では、まだドル高・円安が続くかといえば、そういうものでもないと思うのですが。


◆投機主導のドル高・円安の限界


 今回のドル高・円安のリード役は、投機筋の動きと見られています。<資料1>は、そんな投機筋のドル/円に関するCFTCという米商品先物取引委員会の統計です。これを見ると、全ポジションに対する円売りのシェアは、過去最高水準まで急上昇しています。確かに、投機筋がドル買い・円売りに目一杯傾斜するなかで、ドル高・円安が進んできたといえるでしょう。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=351718
<資料1>
 ただこの<資料1>を見ると、経験的には円売りシェア上昇もこれ以上は難しいようです。そうであれば、さすがに投機筋のドル買い・円売りも、いったん持続可能性が難しくなりつつあるのではないでしょうか。

 もちろん、投機筋がドル買い・円売りを一巡したからといってドル高・円安が止まるかはわかりませんが、過去の動きを見ると、それはドル高・円安の一巡ともほぼ一致してきたようです(<資料2>参照)。

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=351719
<資料2>
 投機筋のドル買い・円売りは、いったんの限界に近づいており、それが一巡したらドル高・円安も一段落するということなら、いよいよ「安倍政権」が誕生し、日銀へのプレッシャーで円安が進む可能性が現実的に期待されてきたことと裏腹の円高が起こる可能性があるのかもしれません。


◆金利差なき円売り反動はどこまで?


 いや、むしろ投機筋の円売りが一巡した後は、ある程度のドル安・円高が続くのは、これまでの場合、当然の結果でした。<資料2>を見ると、投機筋のドル買い・円売りが一巡し、それに伴うドル高・円安が一息ついた後は、最小でも3-4%のドル反落が起こり、改めてドル高値・円安値更新となったのは、最短でも2か月以上先のことでした。

 ちなみに、この「最小」「最短」記録は、ともに2007年以前、つまり米国の政策金利が5%以上といった具合に高水準にあった結果、日米金利差ドル優位が大幅に開いていた時のこと。

 一方で、2008年以降、金融危機が世界的に広がり、日米金利差もほとんどなくなると、投機筋の円売りが一巡した後に起こったドル安・円高は、10%前後、そして半年以上続くといった具合にかなり長く、深いものとなったのです。

 考えてみれば、最近も金利差はほとんどありません。そうであれば、安倍政権誕生の決定は、後から振り返ったら、半年程度続く、80円を大きく割り込む「安倍円高」の始まりだったということにならないでしょうか。

 私はそこまでには至らないと思っています。その理由として、米金利上昇に伴う日米金利差拡大といった循環的要因や、そして日本の経常黒字縮小といった構造変化に注目していますが、果たしてどうでしょうか。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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