吉田 恒氏 ドル高・円安が止まらなくなってきました。このコラムに、「年内85円、まさかの円安シナリオの現実性(http://nikkan-spa.jp/310028)」というお話を書いたのは10月12日付けが最初だったのですが、「まさか」ではなく、ほぼ現実になってきました。


◆円安はいったん終わる可能性


 こうなると、85円どころか、もっともっと円安になるかといえばそうではなくて、いったんは円安も止まり、85円を超えるドル高・円安が進むのは、まだ先の話ではないかと考えているので、今回はその理由を述べたいと思います。

 <資料1>のように、今年のドル/円の動きは、10月頃までは米金利と日米金利差でほぼ説明できるものでした。3月にドル高・円安が84円台まで進んだのは、米2年金利が0.4%まで大幅上昇となったからです。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=348625
<資料1>
 さて、その米2年金利が最近は0.2%台での推移となっています。つまり、13日現在で83円台までドル高・円安となった動きは、金利で説明できない、むしろ金利からかけ離れた動きです。

 私は、今後のいわゆる「財政の崖」問題の動向次第で、米金利は上昇する可能性があると思っていますが、それにしても12日FOMCで現行のゼロ金利政策継続を決めたばかりで、金融政策を反映する2年金利がゼロ金利政策の上限、0.25%を大幅に上回って上昇するには自ずと限度があるでしょう。

 要するに、3月の0.4%を超えて、米2年金利がすぐに一段と大幅に上昇する可能性は考えにくいでしょう。そうであれば、この局面でのドル高・円安もせいぜい84-85円程度までと考えるのが自然でしょう。


◆「まさかの円安」続編の鍵とは?


 では、85円を大きく超える「まさかの円安」続編のシナリオとは。その鍵を握っているのが「財政の崖」かもしれません。

 <資料2>のように、投機筋の米国債買い越しは2008年以来の大幅に拡大しています。これはまさに、「崖」からの転落を警戒して安全資産、米国債へシフトした結果ではないでしょうか。

 ただ、<資料2>を見ると、そんな動きもかなり限界を超え始めている可能性がありそうです。「崖」からの転落となれば、瞬間的にパニックになるのは仕方ないでしょうが、それにしてもさらに米国債を購入し、米金利が低下する余地は限られるのではないでしょうか。

 むしろ「崖」転落回避となり、買われ過ぎの反動で米国債売りとなった場合の、米金利上昇余地が大きいのではないでしょうか。そんな米金利上昇の可能性が高まり、さらにそれが米超低金利政策変更の思惑を先取りするようになれば、今年3月の水準を上回る米金利の一段の上昇の可能性が出てくるでしょう。それこそが、85円を大きく超えるドル高・円安「続編」の鍵を握っていると思います。(了)

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=348626
<資料2>


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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