新興国の金需要を牽引するのは巨大市場を擁する中国

池水 雄一氏
新興国の金需要を牽引するのは中国だ。中国とインドは2か国で年間1800トンも金を買う〝需要大国〞だが、ルピー安も手伝い長年世界一の金の需要国だったインドに中国が急接近。’11年7-9月期の総需要では、インド203トンに対し中国191トンと今年前半には逆転しそうな勢いだ。

欧米が外貨準備高の7割を金で保有しているのに対し、新興国は1割未満にとどまる。輸出で経済成長する新興国は決済通貨のドルを多く保有するが、ここ数年、金へのシフトが急速に進んでいる【左図】欧米が外貨準備高の7割を金で保有しているのに対し、新興国は1割未満にとどまる。輸出で経済成長する新興国は決済通貨のドルを多く保有するが、ここ数年、金へのシフトが急速に進んでいる

「非公開なので中国の中央銀行がどの程度金を買っているかは不明ですが、ほとんど国策として金の購入を国民に勧めてます。実は、今や中国は世界一の金産出国。にもかかわらず、金の輸入量は世界2位と、圧倒的な需要がある。中国は不動産がバブルになっており、政府は引き締めにかかっている。そこで、さらに金に資金が向かっている。そもそも、中国人は伝統的に金が好きで、結婚や出産のお祝いに金を贈る文化があるくらいです。縁起物の意味合いもあるので、一度手にすると長期保有する人が多い。一方、混乱の歴史がそうさせるのか、自国通貨・元をあまり信用しない。世界2位の経済大国になった恩恵は、現在大都市と沿岸部に限られているが、今後は内陸部まで波及していく。金の需要がより高まるのは必至です」

そこで、気になるのは金価格がどこまで上がり続けるのか? という点。正直、今から買うには〝乗り遅れ〞た感も拭えないが……。「今年後半には2000ドルにトライする局面がありそうです。高値の目途は、’80年の当時の史上最高値を現在のインフレ率で弾き出した2200ドル。要はインフレ率換算すると、過去にこの水準までは上げたという数字です。

FRBのバーナンキ議長は、景気が劇的に改善しない限り、金融緩和を’14年末までは継続すると明言している。世界的な金融緩和という前提がある以上、金はまだまだ上昇するとみるべきです」

つまりは、まだまだ金高騰のおこぼれにあずかれそう! ということ。次頁からは上手な金投資の方法を紹介する。

金価格と世界の資金流動性は、ほぼ相関関係にある。流動性が増えれば、貨幣の価値は薄まり、逃避した資金が金に流入することで価格を押し上げている【右図】金価格と世界の資金流動性は、ほぼ相関関係にある。流動性が増えれば、貨幣の価値は薄まり、逃避した資金が金に流入することで価格を押し上げている


【池水 雄一氏】
スタンダードバンク東京支店長。三井物産での貴金属チーム・リーダーを経て現職。一貫して貴金属ディーリングに従事する。著書に『THE GOLD ゴールドのすべて』(エイチスクエア)など