吉田 恒氏 皆さんの周りでも円安・外貨高の予想が増えてきたのではないでしょうか。でもさすがに、欧州債務危機に振り回されたユーロだけは別、そんな声が聞こえてきそうですね。しかしそのユーロも、140円まで上がるといった見方が浮上し始めたようです。


◆チャートが示すユーロ140円回帰説


 有力チャーティストたちにとっては、最近にかけてのユーロ/円の値動きが非常に重要な意味を持っていたようです。そして結論的に彼らの一部は、これでユーロが140円まで戻る動きが始まった可能性が高いとの判断に至ったようなのです。

 ユーロは、そもそも2008年には170円近くまで上昇していました。それが今年は、一時94円まで急落したわけです。もともと170円まで上がっていた通貨ですから、140円ぐらいまで戻ってもおかしくないでしょう。

 でも、2010年以降、欧州債務危機、ユーロ危機が延々と続き、ついに100円割れまで急落したユーロに対する印象がまだまだ生々しく残っているなかで、140円までユーロが上がるといったシナリオは、にわかに受け止められないのが普通ではないでしょうか。

 10月以降、全般的に円安が広がり始めたなかで、円安が進み、米ドルなど外貨が上がるといった見通しは、一般的にもかなり増えてきた感じがします。「さすがに米ドルも90円ぐらいまでは上がるのではないか」、「豪ドルは2008年以来となる100円の大台に戻る可能性も出てきたのかもしれない」といった感じでしょうか。

 そんな外貨のなかで、ユーロはまだまだ腰が引けていたというのが普通だったのかもしれません。ユーロの場合は、上がるどころか、まだ下落が終ったかも甚だ疑問というのが、つい最近までの一般的な感覚だったと思います。世界経済を揺るがせた欧州債務危機は、それだけ深刻で、根深いとの理解が大背景となっていたでしょう。

 では、そんなユーロまでも、大幅な上昇に向かうといったシナリオをどんなふうに受け止めたらよいでしょうか。

◆外貨運用環境の物凄い変化が始まっている?!


 <資料>は、ユーロ円を過去5年間の平均、5年移動平均線からのかい離率で見たものです。これを見ると、今年100円を下回るユーロ安・円高となった動きは、経験的にはユーロ下がり過ぎ限界圏の動きだったことがわかります。

※<資料>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=343253
<資料>

 ユーロが、欧州債務危機が続くなかでも94円で何とか下げ止まり、そして最近にかけて100円を大きく上回って反発してきたのも、このように見ると下がり過ぎの限界に達し、その修正が広がってきた動きといえそうです。

 ちなみに、5年移動平均線は足元120円ぐらいです。その意味では、120円ぐらいまでは、ユーロ下がり過ぎ修正の結果として起こってもおかしくなさそうです。そのうえで140円ということになると、それはユーロ上がり過ぎ、円下がり過ぎ拡大の結果ということになるわけですが、果たしてどうでしょうか。

 それにしても、ついにユーロまで大きく上昇するといった見通しが本当に現実味を持つようなら、外貨の資産運用を取り巻く環境はものすごい変化が起こることになるのは間違いないのではないでしょうか。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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