植草一秀氏
マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏

野田首相は自民党・安倍総裁との党首討論で解散を宣言。原発、消費税、TPPの是非を国民が下す選挙だが、反対勢力が分立し、推進派に有利な状況だ。市場は金融緩和政策推進を予測して円安・株高が始動したが、実際は?


◆原発・消費税・TPP選挙、自民安倍の金融緩和主張で円安・株高は持続するのか



 11月14日の党首討論を経て、野田佳彦首相はついに16日の解散を宣言した。民自公の三党で消費税増税法を成立させる際に「近いうちに」解散すると約束したのにもかかわらず、守らないため「うそつき」と言われていたことを野田氏が気にしたのだという。

 この日の発言では、消費税を上げないと約束したのに消費税増税を決めたことを気にしているのか、増税の前に議員定数を削減することを何度も強調した。

 それでも「うそつき」の評価は変わらない。野田氏は「天下りやわたり」という官僚利権を根絶することを約束したのであって、議員定数削減を約束したわけではないからだ。

 野田氏は財務省の指示で「天下りとわたり根絶」を取り下げて、「議員定数削減」にすり替えたのだ。そのため「うそつき」の評価はますます確かなものになった。

 12月16日に投開票日を迎える総選挙では、原発、消費税増税、TPPについて主権者である国民が最終判断を示さねばならない。しかし、現状はこれらの施策に反対する勢力が分立し、推進勢力に有利な状況となっている。

 メディアが支援する日本維新の会などの勢力は、基本政策がグラグラと揺れ動き、政策の軸は定まらない。国民がムードに流されて投票を決めるなら、日本の政治は既得権益が支配する状況に逆戻りするだろう。

 選挙結果を見通すのは時期尚早だが、自民党が日本維新の会などと連立政権を樹立する可能性が高まっている。そんななか、金融市場は安倍首相誕生を見越して、安倍氏の発言に敏感に反応する様相を強めている。

【後編】に続く⇒「デフレと言うが金価格で見れば激しいインフレ状態の日本」
http://nikkan-spa.jp/339052



【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。著書に『消費増税亡国論』(飛鳥新社)