吉田 恒氏 11月以降、いわゆる「財政の崖」への懸念が急拡大し、世界的な株安、リスク回避の材料となりました。ただ、1年を通じたリスク回避の主役は、やはり欧州債務危機だったでしょう。しかしこちらは、当面の峠を越えた可能性が高いのではないかと、私は考えています。


◆イタリア危機との類似が示唆するスペイン危機の未来


 ギリシャのデフォルト懸念や、スペインによる支援申請の遅れなどから、欧州債務危機再燃への警戒感が広がり始めているのかもしれません。ただ少なくとも、スペインを主役とした欧州危機が再燃する可能性はかなり低いのではないかと私は考えています。

 <資料1>は、今年初めにかけてイタリアを主役に欧州危機が展開したときのイタリア10年金利と、最近にかけてスペインを主役に欧州危機が展開したなかでのスペイン10年金利の動きを、「危険ライン」とされた7%突破のタイミングを軸に重ねてみたものです。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=333443
<資料1>
 このように見ると、欧州危機はその主役がイタリアでもスペインでも、主役の10年金利の動きは、きわめて似た展開となっていたことがわかるでしょう。そして、この似た動きがこの先も続くなら、スペイン10年金利はさすがに5%を割り込んで大きく下がるわけではないものの、一方で6%を大きく上回り、上昇再燃ともならない見通しなのです。

 ちなみに、イタリア金利の低下が一巡するところとなった一因は、「ポスト・イタリア」とばかりに、スペインを主役とした新たな欧州危機が始まったためでした。その意味では、今度は「ポスト・スペイン」の新たな欧州危機の主役が登場する可能性は要注意かもしれませんが、そういった場合でもスペイン10年金利が再び6%を大きく超えることにはならないといった見通しになるわけですが、果たしてどうでしょうか?

 こういった見通しに立てば、今年も世界の金融市場にとってリスク回避の主役といった存在となった欧州債務危機は、当面の峠を越えた可能性があるわけですから、それは意味のあることといえそうです。


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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