吉田 恒氏 早期解散で自民党政権誕生、円一段安の様相となってきました。私はこれまで何回かにわたり、「年内85円、まさかの円安シナリオの現実性」(http://nikkan-spa.jp/310028)というコラムを書いてきましたが、いよいよそんな感じになるのでしょうか。私は日本の政権交代とは違う理由で、円一段安の可能性があると考えています。


◆安倍円安説への疑問


 まずは2つの資料をご覧下さい。今年のドル/円に、日本の2年金利を重ねたのが<資料1>、そして米2年金利を重ねたのが<資料2>です。これを見ると、今年のドル/円は基本的に米金利が上下動した結果であり、日本の金利はほぼ横ばいだった結果、ドル/円にはほとんど影響なかったということになるのではないでしょうか。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=331263
<資料1>
 それにしても、相次ぐ日銀の金融緩和にもかかわらず、日本の2年金利が今年0.1%前後でほぼ横ばいだったのはなぜか。それはすでに低下余地がほとんどないほど、絶対水準が低かったからでしょう。


※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=331264
<資料2>
 11月14日の東京市場で、早期解散の可能性が高まると、それがきっかけで円安になったとの見方が少なくなかったようです。日銀に金融緩和を要求している自民党政権誕生を先取りしたとの意味かもしれませんが、それにしても日本の金利の低下余地が限られるということには変わりないのではないでしょうか。

 <資料1、2>からすると、ドル高・円安は米金利上昇が鍵でしょう。その意味ではオバマ再選前後からの米株安、米金利低下がどこで終わり、米金利上昇再開となるかが、より重要なのではないでしょうか。


◆「財政の崖」株安説への疑問


 では、米金利低下が一巡し、上昇再開となるためには何が必要でしょうか。最近にかけての米金利低下は、米株急落が広がるなかで起こっているものです。そう考えると、米株下落がいつ終わるか、それともまだ続くのかを見極める必要があるでしょう。

 そんな米株急落は、オバマ再選決定を前後して目立ってきました。このため、これは、いわゆる「財政の崖」への懸念に伴う「オバマ・ショック」との見方が一般的のようです。

 ただ11月に米株安が広がるのは、実は今年に限ったことではなく、むしろ例年通りの現象でもあります。そして例年通りなら、米株安は11月で終わるということになるのですが、果たして今年はどうでしょうか。

 <資料3>は、リーマン・ショックが起こった2008年9月以降のNYダウのチャートです。これを見ると、2008年から2011年にかけて、11月はすべて株安のスタートになっていたことがわかるでしょう。そしてそんな株安は最短では11月3日に、遅くとも11月下旬までに終わっていた。つまり年内の株安は、すべて11月で終わっていたわけです。

※<資料3>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=331265
<資料3>
 なぜこんなふうになってきたのか。想像しやすいのはヘッジファンドなどの決算要因、特に「45日前ルール」の影響でしょう。ヘッジファンドの解約は、四半期末の45日前までに通告するルールになっています。そしてこの要因は、特に11月15日にかけて大きな影響になりやすいとの見方が多いのです。

 こういった見方からすると、最近の米株安も、「オバマ・ショック」なのかは微妙かもしれません。「財政の崖」懸念を抱えるなかでは、意外なことに株安は短期で収拾される可能性も注目してみたいところです。

 ところで、最近にかけてのドル安・円高は、これまで述べてきたように米株急落で米金利低下が続くなかでの動きでした。もし「財政の崖」が主因ではなく、むしろ株安は例年通りの動きで、間もなく一段落するなら、それに伴う米金利低下も一巡する可能性が高まります。それこそが、ドル高・円安が一段と広がる大前提ではないでしょうか。


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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