吉田 恒氏年内85円、まさかの円安シナリオ」について書いたのは約1か月前、10月12日のことでした。ただ最近では、その当時に比べ、「まさか」という感じもかなり薄れてきたかもしれません。


◆米大統領選挙のパターン通りなのか


 10月12日に「まさかの円安シナリオ」を書いた当時のドル/円相場は1ドル=78円台前半でした。そして何よりも、当時のドル円相場の特徴は、「動かない」ということでした。それが「いよいよ動き出し」、そして年内に85円といった一段のドル高・円安になるというのは、大げさではなく、当時の感覚としては「まさか」だったでしょう。

 それでも、あえて私がそんな「まさかのシナリオ」を書いたのは、一つには、4年に一度の米大統領選挙が行われる年のドル/円は、選挙前までは「動かない」けれども、選挙前後になると途端に大きく動き出すという傾向があったからでした。その意味では、米大統領選挙年の今年は、そろそろ動き出すことがむしろ「まさか」ではなかったのです。

 しかも、そんな選挙前後に動き出したドル/円は、ドルの年間高安値のどちらかを更新する傾向がありました。この10月12日当時のドル高値は84円、安値は76円だったので、今回も大統領選挙年の傾向通りなら、85円か75円かのどちらかを記録するのが、「まさか」ではないという話になったわけです。


◆3月ドル高84円と類似した構図


 さて、その後約1か月が過ぎるなかで、ドル高・円安は80円を大きく越える動きとなってきました。今年3月にかけて、ドル高・円安は84円まで進んだわけですが、いよいよその再現になるのでしょうか。

 3月にかけて大幅なドル高・円安となったのは、欧州債務危機が一段落し、そして米雇用統計などの改善を受けて、FRBがツイストオペという金融緩和を期限いっぱいで終了するとの思惑から米金利が大幅上昇となったためでした。

 さて、最近もスペインを主役に展開した欧州危機が一段落しつつあります。そのなかで、11月2日発表の米10月雇用統計が改善し、結局は今年後半も延長となっていたツイストオペをついに年内いっぱいで終了するとの思惑が一部で浮上してきました。

 こんなふうに見ると、3月にかけて大幅なドル高・円安が始まった構図と最近はよく似ている感じがします。「まさかの円安シナリオ」の、「まさか」という感じが一般的にも次第に薄れるようになっているのではないでしょうか。


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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