吉田 恒氏 米ドルの対円安値は、昨年10月末に記録した75円台です。その意味では過去1年、あまり実感ないかもしれませんが、ドル高・円安傾向が続いてきたのです。もう円高は終わって、実は円安時代が始まっている、しかもそれはちょっとこれまでとは違うものかもしれないという考え方が、専門家の一部にもあるのです。


◆過去の円安への転換と何が違うのか


 1990年以降のドル高・円安基調は、3回ありました。それは、<資料1>でわかるように、日米金利差ドル優位の一定以上の拡大が前提条件となってきたのです。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=322924
<資料1>
 例えば1995年、2000年、2005年から、それぞれドル高・円安への転換が起こりましたが、その前に日米政策金利差ドル優位は拡大が再開し、さらに2%以上と大幅に拡大するなかで、ドルは底打ち、対円で上昇基調への転換となってきたのです。

 その意味では、今回はまだドル安・円高からドル高・円安への基調転換の条件を満たしていないことになります。なぜなら<資料1>のように、日米の中央銀行がともに実質ゼロ金利政策を続けるなかで、日米政策金利差ドル優位も基本ゼロの状況が続いているからです。では、まだドル安・円高は終わっていないのでしょうか。


◆プロが注目する「黒字大国・ニッポン」の変化


 それにしても、なぜドル高・円安への基調転換には、金利差の大幅拡大が必要だったかといえば、それは「黒字大国・ニッポン」の影響があったのではないでしょうか。巨額の経常黒字に伴う米ドル売り・円買いを吸収し、米ドル高・円安へ基調転換させるためには、ある程度大幅な金利差ドル優位拡大が必要だったということです。

 しかし、この「黒字大国・ニッポン」が、このところ急ピッチで揺らぎ始めています(<資料2>参照)。このため、ドル高・円安への基調転換に必要な金利差ドル優位拡大の「ハードル」が、これまでより低くなっており、その結果、これまでとは異なり、金利差拡大がないなかでの円安への基調転換といった「ニューウェーブ」が起こっている可能性が、専門家の一部でも注目されているのです。

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=322925

<資料2>



【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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