マネーな人々 今週の銭格言
【選者】政治経済学者 植草一秀氏

NYダウは節目の1万3300ドルを突破し、'09年以降の株価上昇第四波動に突入した。しかし油断は禁物だ。日中関係悪化が世界経済の停滞をもたらし、米大統領選結果いかんでは'13年に「財政の崖」が本格始動しかねない!


◆接戦続く米国大統領選挙。オバマ勝利で「財政の崖」による不況を回避できるか!?


 NYダウは節目だった1万3300ドルを突破し、'09年3月の底値からの株価反騰・第四波動に突入した。しかし、この第四波動が短命に終わってしまう2つの大きなリスクがここにきて浮上している。

 1つ目は日中関係の悪化だ。これにより日中経済が停滞し、これが世界経済に下方圧力を与える可能性がある。

 すでに製造業や観光産業には、かなり深刻な影響が出始めており、日中の「政冷経冷」関係が長期化する場合の余波を慎重に見定める必要がある。

 そして、2つ目は米国の大統領選の結果によって、米国の経済政策が大きく変化する可能性があるということだ。

 11月6日に投票日を迎える米大統領選では、現職のオバマ大統領に対してロムニーが追撃する様相を示している。1回目のテレビ討論を優勢に進めたロムニーはオバマ支持率に接近する気配を強めた。だが、2回目のテレビ討論ではオバマが得点をあげた模様で、投票日までどのような情勢変化があるか読み切れない。

 米国の失業率は現在7.8%の水準にあるが、失業率が7%以上の状況下で再選を果たした大統領はレーガン以外には存在しない。11月6日に向けての株価動向、経済指標発表が米国民の投票行動に微妙な影響を与えることになる。

 問題は、米国財政政策が'13年に強度の景気抑制効果を発揮するかもしれないということだ。

【後編】に続く⇒ロムニーが勝てば米経済は「財政の崖」に突入!?
http://nikkan-spa.jp/317665


植草一秀氏【植草一秀氏】
シンクタンク主席エコノミスト、大学教授などを経て、現在はスリーネーションズリサーチ(株)代表取締役。ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」も人気。著書に『消費増税亡国論』(飛鳥新社)