吉田 恒氏 日本の個人投資家に人気の通貨、豪ドルは一時の続落懸念を尻目に、今月は反発に転じました。これまでのところは、私が「75円割れ、逆戻りコースは回避される」と書いた感じになっていますが、そのコラムでも書いたように、やはり「影の主役は欧州」ということだったのではないでしょうか。


◆豪ドル75円割れ「逆戻りコース」回避の「真相」


 <資料1>は、豪ドル/円と日本と豪州の2年金利差のグラフを重ねたものです。これを見ると、豪ドルが10月に入ってから一時80円を割れたものの、その後反発に転じたのは、日豪金利差縮小が一巡し、再拡大に転じたためだったことがわかるでしょう。

※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=316141
<資料1>
 金利差といっても、日本の2年金利は0.1%程度でほとんど横ばいが続いたので、その変化は豪州の2年金利が上昇に転じたということに尽きます。では、なぜ豪州の金利は上昇に転じたのでしょうか?

 豪州といえば、少しでも詳しい個人投資家ほど、中国経済との関係を思い出すかもしれません。中国経済を巡る動きが、最近にかけて目立って好転したということがあったでしょうか。

 程度差はありますが、豪州の金利も米金利と基本的には同じように動きます。その米金利も、例えば長期金利の指標銘柄である10年金利は、10月に入ってから1.6%程度から一時は1.8%を大きく越える大幅上昇となりました。

 <資料2>は、そんな米10年金利に、欧州債務危機の代理変数であるスペイン10年金利を軸を反転させた上で重ねたものです。これを見ると、両者はこの数か月、逆相関関係が続き、最近は関係性が少し薄れつつあるものの、それでも米10年金利が大幅に上昇したのは、スペイン10年金利が一段と低下し、欧州危機が後退したためだということがわかるでしょう。

 以上からすると、人気通貨、豪ドルが反発したのは、豪州金利が上昇したためで、それは中国経済など一喜一憂する要因があるなかでも、スペイン金利が一段と低下し、欧州不安が主導してきたリスク回避の修正が着実に進んだためだったといえるでしょう。

※<資料2>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=316142
<資料2>
 ちなみに、私は今月初めのこのコラムで、「豪ドルは意外に急落しない可能性がある」といった見通しを示していましたが、そう考える理由について以下のように述べていました。

「何よりも私が注目しているのは、この数か月、世界経済のリスク回避の主因になっていた欧州債務危機問題です。(中略)欧州危機一段落となったら、世界経済のリスク回避ムードもむしろ一段と修正に向かう可能性があるでしょう。それは、豪ドルが「75円割れ急落コース」に向かうシナリオを阻止する最大の鍵ではないでしょうか」。

 そんな見方は、少なくともこれまでのところ基本的に正しかったといえそうです。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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