また阿部氏は「世界人口が30年後に90億人前後まで増えることを考えれば、食料供給が追い付かなくなる可能性が高いと思います。大豆やトウモロコシなどの穀物価格も長期的には値上がりすると考えられます」と言う。

また、当面の値動きが気になるのが原油だ。WTIは2月以降、1バレル100ドルを超えてじりじり上昇しているが、これは核開発を進めているイランが欧米の経済制裁への報復措置として、中東原油の海上輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖をちらつかせていることが原因だ。

「実際に封鎖された場合、中東原油の供給がストップする懸念から原油価格が跳ね上がる可能性があります。WTIは’08年7月に付けた1バレル147ドルを瞬間的に上回るかもしれません」と予想するのは、銀座でお店を経営する傍ら個人投資家としても活躍する浅川夏樹氏である。

ただし、「一時的なイベントによる値上がりなので、高値を付けてもすぐに急落すると思います。取引をするなら、せいぜい1〜2週間の短期勝負ではないでしょうか」と浅川氏。これは阿部氏や土居氏もほぼ同様の見方だ。

実際、’08年7月にWTIが147ドルを付けたときは、直後に「リーマンショック」が発生して一気に30ドル台まで暴落した。

「原油に限らず、穀物も、コモディティは為替や株式に比べると市場規模が小さく値動きの激しい特徴を持っています。日本の個人投資家はせっかちで横着で長期保有が好きですが(笑)、コモディティは、過剰流動性の影響も受けやすいので、ほったらかしは危険です。コモディティは一定のレンジで値動きがあるので直近の高値と安値近辺でショート(売る)、ロング(買う)など、タイミングをみて短期売買をするほうが賢明かもしれません」

コモディティ投資といえば、金の現物を買うにも、商品先物取引を始めるにもかなりの元手が必要だが、最近では3000円程度から買える投資商品も充実してきている。

ETF、ETNの中には、金や原油、穀物などの相場に連動する銘柄も豊富に用意されているし、eワラントやCFDでFXのようにレバレッジを効かせて取引することもできる。予算と投資スタイルに応じて、我ときめくコモディティを探してみよう!



産業金属(銅、アルミなど)

製品やインフラ向けの需要が拡大


銅は家電や自動車のほか、電線の材料としても用いられる。中国やインドなどの新興国では、これらの製品の普及や送電網などの社会インフラの発展とともに銅の需要が急速に拡大している。直近の銅相場(ロンドン金属取引所価格)は1ポンドあたり約4ドルと3年間で4倍近く上昇しているが、新興国の需要は引き続き拡大する見通しで、生産が需要に追い付きそうもないことや、売り手である鉱山メジャーの価格決定権が強まっていることなどから、銅価格が今後も長期的に上がり続ける可能性は高い。一方、アルミの需要も新興国の経済成長とともに高まるものと見込まれるが、銅に比べると需給が緩いため、値上がりの勢いはさほど強くなさそうだ。



穀物(コーン、大豆、小麦、砂糖、コーヒーなど)

天候次第で値が大きく動く!


世界人口は毎年約1億人ずつ増加し、30年後には現在の70億人から90億人前後まで増えると予想されている。人口の増加に穀物生産の伸びが追い付かず、新興国では年々食が豊かになることなどから、穀物需給は長期的にひっ迫するとの見方が強い。とくに中国では、経済成長とともに肉類の消費が拡大しており、家畜の飼料となる大豆の“爆食”が進むことも予想されている。そのため、長期的には穀物価格は上昇するものと見込まれるが、短期的には豊作および不作の影響で価格が激しく変動しやすい特徴がある。2010年末にオーストラリアで大洪水が発生した際、小麦の国際価格が急騰したことは記憶に新しい。長期保有よりも短期売買向きか?



貴金属(金、銀、プラチナ、パラジウムなど)

排ガス浄化触媒としてのプラチナも注目!


金はコモディティであるとともに、通貨としての性格も持っている。預金のように利息は生まないが、その価値は普通の通貨のように国の信用によって保証されるものではなく、金そのものに価値がある。そのため有事や金融危機で国の信用不安が高まったときには通貨が売られ、金が買われやすくなる。金がおもに宝飾品や投資商品として購入されるのとは対照的に、銀やプラチナは工業原料としての用途も多い。とくにプラチナは、自動車の排ガス浄化触媒としての需要が高く、中国など新興国における自動車の普及拡大とともに需要の増加が見込まれる。銀、プラチナの相場は金に連動しやすい傾向にあるが、金に比べると市場規模が小さく、その分値動きも荒い。



エネルギー(原油、ガソリン、天然ガスなど)

WTIは年内に140ドル超えか?


原油には、ニューヨークで取引されるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)、ロンドンのブレント原油、中東のドバイ原油などがある。東京工業品取引所に上場しているのはドバイ原油の先物。eワラントではWTIが、CFDではWTIやブレント原油などが取引できる。それぞれの原油価格の動きはほぼ連動するが、昨年、中東・北アフリカで「アラブの春」と呼ばれる動乱が発生した際にはブレント原油が急騰した。足元の原油相場は、イランによるホルムズ海峡封鎖の懸念とともにWTIが1バレル100ドルを突破。封鎖が現実のものとなったり米国によるイランへの武力行使が実行されたりした場合は、2008年7月以来の140ドル超えもありうるとの見方が。


浅川夏樹氏【浅川夏樹氏】
夜の銀座でお店を経営する傍ら、資産運用に役立つプログやニュースレターを発行する個人投資家。著書に『ETF』『グローバル化時代の資産運用』など多数

阿部重利氏【阿部重利氏】
ヒューマネコンサルティング代表取締役。CFPと経営コンサルタントとふたつの顔を持つ。著書に『コモディティ投資入門 普通の暮らしを守るためのおカネ術』など

土居雅紹氏【土居雅紹氏】
eワラント証券COO。’00年にゴールドマン・サックス証券でeワラントを開発・導入。’11年8月より現職。著書に『勝ち抜け!サバイバル投資術』などがある