為替と株式相場は回復の兆しを見せているかのよう。だが欧州の財政不安が改善されたわけではなく、通貨や国債、株の暴落リスクはくすぶり続けている。だから今こそ、信用リスクとは無縁のコモディティで資産暴落の危険に備えるべきかも。敷居が高いと思われがちなコモディティだけど、3000円から買える投資商品もある!

 円が一時1ドル80円台を回復し、日経平均も9500円台に乗せるなど、為替と株式相場は昨年後半以来の最悪期を脱したかのようにも見える。とはいえ欧州で深刻化している債務問題が抜本的に解決されたわけではなく、ギリシャやイタリアなど債務国の国債暴落やユーロ安を引き金とする金融危機の懸念は依然続いている。

「昨年以来、金価格が高騰しているのは、通貨や国債などの信用リスクが嫌気され、それ自体が価値を持つ金への資金逃避が進んだからです。欧州の信用不安が続く限り、コモディティへの資金流入は続きそうです」と語るのは、『コモディティ投資入門』などの著書があるファイナンシャルプランナーの阿部重利氏。

 通貨や国債の価値は国の信用、株式の価値は企業の信用によって支えられているが、コモディティはそうした裏付けとは無縁。投機や需給によって値が動くことはあても、〝紙くず〞になることは。だからこそ「資産防衛のたートフォリオの一部としティを組み入れることは大切です」と阿部氏は指摘する。に預金や国債は安全資産と捉えられがちですが、今後円安やインフレが進行すれば相対的な価値は減ってしまいます。その点、コモディティ相場は物価の上昇に連動しやすいのでインフレにも強い。資産の目減りを抑えるためにもコモディティを持っておくべきではないでしょうか」(阿部氏)

 だが、すでに金相場は1オンス1700ドル台と過去最高値圏で推移し、原油もWTIが1バレル100ドル台を超えている。今、コモディティを買うと「高値づかみ」になってしまうのではないか。「いえいえ。むしろ銘柄によっては、これからさらに価格が上がるかもしれませんよ」と語るのはeワラント証券の土居雅紹氏である。

「米国は今年に入ってから金融緩和を加速していますが、その資金が米国株だけでなくコモディティ市場にも大量に流れ込み、相場を押し上げています。一方でエネルギーや金属の一大消費国である中国は今年、秋の政権交代を視野に入れて景気テコ入れに動き出している。その結果、中国で家電や自動車、電線などの原料となる銅や、自動車の排ガス浄化触媒として使用されるプラチナなどの需要が大きく拡大することが期待されているのです」(土居氏)

 すでに自動車販売台数で世界一となった中国が銅やプラチナの消費を拡大すれば、価格はさらに上昇する可能性は高いというわけだ。コモディティの価格は、中国やインドなど新興国の需要拡大とともに長期的に上昇し続けるというの
が一般的なシナリオなのである。

「とくに工業製品や社会インフラづくりに欠かせない銅は、すでに掘りやすい銅山が掘り尽くされてしまったので生産が消費に追い付かない状態。しかも英国・オーストラリア系のBHPビリトンやブラジルのヴァーレといった世界的な鉱山メジャーが世界中の主要鉱山を買収して価格決定権を握っているので、長期的に見れば銅価格は上がりこそすれ、下がる可能性は低いと思います」(土居氏)



浅川夏樹氏【浅川夏樹氏】
夜の銀座でお店を経営する傍ら、資産運用に役立つプログやニュースレターを発行する個人投資家。著書に『ETF』『グローバル化時代の資産運用』など多数

阿部重利氏【阿部重利氏】
ヒューマネコンサルティング代表取締役。CFPと経営コンサルタントとふたつの顔を持つ。著書に『コモディティ投資入門 普通の暮らしを守るためのおカネ術』など

土居雅紹氏【土居雅紹氏】
eワラント証券COO。’00年にゴールドマン・サックス証券でeワラントを開発・導入。’11年8月より現職。著書に『勝ち抜け!サバイバル投資術』などがある