吉田 恒 ドル/円、本当に動きませんね。それなのに、「年内に1ドル=85円になる」と予想しても、とても信じてもらえないでしょうか。


◆米大統領選挙年のドル/円ジンクス


 今年は4年に一度の米大統領選挙の年ですが、米大統領選挙の年のドル/円のジンクスが、今回は違うとならない限り、そんな予想がむしろ基本になるのです。過去の米大統領選挙の年のドル/円には、選挙前の9月頃まではいつもウンザリするほどの小動きだけど、11月の選挙前後から、途端に一方向へ大きく動くのが「基本」だったのです。

 そして、大事なのはもう一つの特徴です。それは、大統領選挙前後に年間のドル高安値を更新するということです。今年のドル高値は84円ですから、年内にそれを更新するなら85円のドル高に向かい、小動きから途端にドル一段高へ動き出すということになるわけです。

 逆に今年のドル安値は76円ですから、そちらを更新するなら年内に75円のドル安・円高になるわけですが。足元78円程度での推移が続いていることからすると、この75円は現実味があり、85円というのは、ちょっと無理な気がしますか。


◆79円を超えたら「別世界」


 78円から75円までは3円、一方で85円までは7円もあります。残すところ2か月半となった年末までに、85円より75円に現実味を感じる人が多いのは当然でしょう。ただ、私が「ドル高好き」ということは横に置いて、こんな考え方もあるということを述べたいと思います。

 78円程度から、ほんの2か月程度で85円を目指すのは、「まさか」の感覚かもしれませんが、その「まさか」が現実になったのが、今年2月から3月にかけてでした。そこで大きな分岐点になったのは、120日移動平均線だったようです。

 120日移動平均線とは、為替市場のリードオフマンになることの多いヘッジファンドが重視する水準とされます。確かに、今年3月にかけてドル一段高となった局面でも、この120日線をドルが上抜けてからのドル買い拡大の影響は大きかったようです。

 さて、話を今に戻しましょう。そのヘッジファンドが重視する120日移動平均線は、足元で79円程度です。それは、ドル買いとドル売りの分岐点といった言い方にもなるでしょう。要するに、2か月以内に85円になるかといえば、遠い感じがしますが、79円を超えたらドル買いモードになるという話なら、途端に現実味が増すでしょう。

 最初に紹介した大統領選挙のジンクスが今回も機能するか、そして「まさかのドル高シナリオ」になるかは、実は79円を超えられるか次第という話になると、「すぐ目の前の話」になるでしょう。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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