吉田 恒氏 日本の個人投資家に人気の高い豪ドルの下落リスクへの警戒感が再燃してきたようです。豪ドルは今年一時75円割れまで下落したことがあり、それが再現してもおかしくない状況にあるでしょう。ただ、私は意外に豪ドルはそんな急落にならないのではないかと考えています。


◆人気通貨・豪ドルへの不安が再燃


 豪ドルが急落するかもしれないとの警戒感が拡大している第一の理由は、「買われ過ぎ」になったということでしょう。<資料1>は、投機筋の豪ドル・ポジションのデータですが、過去最大規模の買い越しに拡大していることがわかるでしょう。


※<資料1>はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=305750
豪ドル

<資料1>



 ちなみに、今年6月にかけて、ギリシャ再選挙騒動などで世界がフリーズ状態となる中で、豪ドルは一時75円割れとなりました。このときも、豪ドル急落の始まりは、「買われ過ぎ」の修正だったのです。

 最近は今年に入ってから最高の豪ドル買い越しとなっていたので、そんな「買われ過ぎ」修正が再び「75円割れコース」の始まりになる可能性は確かに懸念されるところです。

 もう一つ、豪ドルの「買われ過ぎ」修正が広がる可能性として市場が警戒しているのは、中国の動向です。ここにきて、中国経済が予想以上に悪いのではないかとの懸念が広がっているようですが、その中国経済と代表的な「資源国通貨」の豪ドルは密接な関係があるわけです。

 <資料2>は、中国の代表的な景気指標と豪州の中央銀行、RBAの政策金利を重ねたものです。このように見ると、RBAの金融政策は、確かに中国の景気次第の構図といえそうです。中国の景気がさらに悪化すると、RBAは一段と利下げが必要になる可能性が確かにあるわけです。


※<資料2>画像はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=305751
豪ドル

<資料2>




◆意外に急落はない可能性も


 こんなふうに豪ドルが「買われ過ぎ」となっているなかで、豪州の金利が中国の景気悪化の影響もあって一段と下がるなら、「買われ過ぎ」修正に伴う豪ドル売りがまだまだ続いて、豪ドルは再び「75円割れ急落コース」をたどるのでしょうか。

 ただ、実はそんな豪ドルにとって悪い話ばかりではありません。米国の中央銀行、FRBは9月に強力な追加緩和、QE3を決めました。2010年11月にQE2を決めた前後に、代表的「資源国通貨」豪ドルは、コモディティ相場と連動し数か月にわたる大幅高となったのです<資料3参照>。その意味では、QE3の後も豪ドルは急落どころか、むしろ上がる可能性があるのではないでしょうか。

 何よりも私が注目しているのは、この数か月、世界経済のリスク回避の主因になっていた欧州債務危機問題です。それはこの2か月、改善の兆しが出ています。欧州危機一段落となったら、世界経済のリスク回避ムードもむしろ一段と修正に向かう可能性があるでしょう。それは、豪ドルが「75円割れ急落コース」に向かうシナリオを阻止する最大の鍵ではないでしょうか。(了)


※<資料3>画像はコチラ⇒http://nikkan-spa.jp/?attachment_id=305752

豪ドル

<資料3>




【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社の編集長、代表取締役社長などを歴任。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任した。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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