昨今の株式市場を賑わせているシャープなどの家電関連銘柄。シャープは一時100円台に落ち込むなど売り込まれ、割安に見えなくもない。そのほか家電株も赤字を出しているが、押し目の買い時はあるのか?日本が誇る製造業に復活の兆しはあるのか、その最前線を追う!


◆シャープを筆頭に家電株は上昇の兆しなし!?


山本 伸氏【右図】山本 伸氏

 かつて、物作り大国ニッポンの象徴だった家電メーカー。シャープやソニーなどは業績の悪化が報じられ、逆境が続いているが、これらの銘柄で今後儲けを出せる可能性はあるのだろうか?

「結論から言うと、総合家電の銘柄は買えないでしょう」

 と手厳しいのは経済アナリストの山本伸氏だ。

「私は、今年2月の段階からシャープやソニー株は200円台になると予測していました。過去の例からも業績が悪化した大企業の株価は、だんだん200~100円台に収斂する。実際にシャープの株価は一時100円台になりましたし。ソニーも経営が厳しいのは同じ。株価もシャープの値動きを追随するかもしれません」

藤井英敏氏【右図】藤井英敏氏

 カブ知恵の藤井英敏氏も家電銘柄に対しては厳しい評価を下す。

「そもそもガラケーに象徴されるように、日本の家電メーカーは独りよがりの高機能製品ばかり作っています。いまだに過去の成功体験に倣って国内で一つの製品を作っている。部品などは中国・韓国・台湾などのメーカーと協力するなどの戦略があってもよかった」

 だからこそ、総合家電銘柄は軒並み凋落している。そして、T&Cファイナンシャルリサーチの本吉亮氏はシャープについてこう指摘。

本吉 亮氏【右図】本吉 亮氏

「もともとシャープが主力にしていた液晶TVは、韓国・台湾メーカーの台頭で価格が下がってしまった。数年前まで30万円程度だった32インチの大型TVが現在では3万円台。当然、値段が下がると売り上げも落ち、売れば売るだけ赤字が出る状況になった」

 さらにシャープは大規模な液晶工場を国内に造った。

「結局、工場などの設備投資は10年単位で元を取るモノ。現状は、まったく回収のめどが立っていないのでは」(本吉氏)

 もし仮に家電株大復活のシナリオがあるとしたら……。

「為替が円安に振れないと業績回復は厳しい。リーマンショック以降、欧米各国は自国通貨安政策を行っています。でも、日本は円高対策に消極的で政策も後手後手、円高が深刻です。日本だけ10kgも20kgも重りを付けて競馬レースに出場しているようなもの。かたや、ライバルの中国・韓国・ドイツは自国通貨安で相当なハンディをもらっているんです」(藤井氏)

 こんな状況下では家電を含む日本の輸出産業が振るわないのは当然なのだ。

「アメリカの量的金融緩和第3弾のQE3も行うことが決定しましたが……。今後、アメリカ大統領選挙でロムニー共和党候補が勝って、中国に対して人民元の切り上げ要求をしたりしなければ大幅な円安にはならないでしょうね。1ドル70円台から、90円台になるだけで日本の製造業は大分楽になるでしょうが」(山本氏)

 日本の家電銘柄をめぐる状況はやっぱり厳しいのであった。



【山本 伸氏】
マネーリサーチ代表。経済情報誌『羅針儀』を主宰し、投資評論家として多数の講演・メディアに出演するなど活躍をしている


【藤井英敏氏】
カブ知恵代表。日興証券、独立系投資顧問等を経て、’05年カブ知恵設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気


【本吉 亮氏】
T&Cフィナンシャルリサーチ日本株マネージャー。ファンダメンタルズ分析が得意でデータに基づいた日本株の分析を行う


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