吉田 恒氏 日銀は19日、追加緩和を決めました。これまでのパターンからすると、それでも円高が止まらず、77円を割れそうな動きになるようなら、私はそれはそれで微妙だと思っていますが、しかしそうなったら円売り介入になる可能性が高いのではないでしょうか。


◆追加緩和と円売り介入の「不文律」


 日銀は19日、追加緩和を行い、そして「金融緩和の強化について」という声明を発表しました。同じタイトルの声明を発表したのは、2010年以降ではこれまで6回ありましたが、そのうち4回はその後円売り介入が行われたのです。

 この4回に共通した特徴は、追加緩和に関する声明を発表する前に記録したドル安・円高の記録を更新したところで円売り介入になったということです。

 ではそれを今回に当てはめたらどうなるでしょうか。

 19日の日銀追加緩和決定前に、ドル安・円高は一時77円割れ近くまで進みました。これまでのパターンを参考にしたら、この円高を受けて日銀は追加緩和したのでしょう。そしてその追加緩和にもかかわらず、もしもドル安・円高が77円割れ含みになるようなら、今度は円売り介入の出番ということになるのではないでしょうか。


◆円売り介入しない理由、する理由


 円売り介入の前に追加緩和を行ったのは2010年8月30日、2011年3月14日、8月4日、10月27日という4回でした。これらはいずれも、追加緩和を行う前に記録したドル安・円高の記録を更新してから、即日、遅くとも2週間以内に円売り介入となっていました。

 ちょっと面白いのは、2011年8月4日と10月27日の追加緩和決定です。この追加緩和決定前、すでにドル安・円高は当時の記録を更新していましたが、円売り介入は行われませんでした。追加緩和決定を受けて、すぐに円売り介入となったのです。

 その意味では、円高阻止には、まず追加緩和、それでも止まらなかったら円売り介入といった「暗黙の順番」が決まっているようでもあります。もしそうなら、この19日の日銀の追加緩和も、77円割れ近くまでドル安・円高が進んだので、慌てて決めたもので、それでも円高が止まらなければ、今度は円売り介入に出番になるのではないでしょうか。

 ただ、ドル円は米金利と相関性が高く、私は米金利が基本的に下がらず、むしろ上昇すると考えているので、そうなれば77円割れに向かうドル安・円高の可能性は低く、その結果円売り介入も必要にならないと考えています。

 ただ、米金利などの動きによって、私の予想以上にドル安・円高となったら、円売り介入再開のシナリオも要注意ではないでしょうか。(了)



【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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