吉田 恒氏 今回はユーロについて書いてみたいと思います。欧州債務問題が「世界経済のガン」のように扱われる中では、ユーロも「絶望の通貨」のような論調が一般的だったと思いますが、実際にはこの2か月で1ユーロ=1.2ドルから1.3ドルを大きく超えて、そして1ユーロ=94円から100円を大きく超えるまで大幅高となったわけです。



◆過去2か月のユーロ大幅高の理由とは?

ユーロ
 では「絶望のユーロ」はなぜ大幅高となったのでしょうか? 

 ユーロ/ドルは、実は米独金利差、とくに独金利と高い相関関係が続いてきました。その意味では、なぜ「絶望のユーロ」が大幅高になったかというと、とても簡単で、独金利が上昇し、そして米独金利差ユーロ優位が拡大したためです。

 ではなぜ、独金利が上昇したのでしょうか? あなたはそれを予想できましたか。

 独金利が上昇したのは、一般的には欧州債務不安が後退し、それまで欧州一の安全資産として債券が買われ、利回り低下となっていた独において、むしろ金利上昇へ転じたためと理解されているはずです。

 以上からすると、「絶望のユーロ」が一般的には意外な形で、この2か月大幅高となったのは、要するに欧州債務不安が、一般的には意外な形で緩和ムードが広がったためということになるでしょう。



◆欧州危機未解決でも循環的にユーロ大幅高は起こる


 私は、「一般的には」という前置きを繰り返してきましたが、7月以降、このコラムで私が欧州債務問題とユーロについて述べてきたことは、そういった「一般論」と一線を画した考え方でした。

 現在の欧州危機を象徴するスペイン危機の「先輩格」イタリア危機と、両者の金利の動きはこれまで似てきたので、この先も似るなら、スペイン金利は大幅低下に向かい、欧州危機は一段落に向かう可能性が高いという見方でしたが、スペインとイタリアは違いもあるのに、実際これまで両者の金利は似た動きが続いてきました。

 面白いですね。ユーロ/ドルはこの2か月で1ユーロ=1.2ドルから1.3ドル以上にユーロ高となり、それはドル/円にたとえたなら120円が130円以上の円安になったようなものですから、凄い変化なのに、ユーロ安が進む過程では「世界経済のガン」のように扱われた欧州債務問題が、同じほどユーロ高になっても大した報道にならないと思うのは気のせいでしょうか。

 確かに、私も1ユーロ=1.3ドルのユーロ高に戻ったから欧州債務問題が解決したとはまったく思いませんが、ただ相場の動きとして1.2ドルが1.3ドルになることは大きな意味があると思います。

 要するに、欧州債務問題の評価とは別に、ユーロは循環的に大幅安にも大幅高にもなるということです。そして、その大幅高、大幅安こそが、相場的には極めて重要な意味を持つものだと思うので、このコラムは、その参考になることを心掛けたいと思っているのです。(了)


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など



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