吉田 恒氏 7日に発表された米8月雇用統計が予想より悪かったことを受けて、今週12-13日に予定されている米国の金融政策を決める会合、FOMCで、究極の追加緩和、QE3が決定され、だから一段とドル安・円高になるかもしれないとの見方が増えているようですが、本当にそうなのでしょうか。



◆米金利低下、ドル安・円高になるのか?!


 まずは本当にドル安・円高になるかということについて。

 ドル円の動きは、基本的には米金利で説明できるので、ドル安・円高になるには、米金利が一段と低下することが必要でしょう。追加緩和するなら、それは米金利も下がるということでしょうか。

 ただ、<資料1>のように、この数ヶ月のとくに米長期金利は、欧州債務不安を象徴するスペインの長期金利と逆相関関係が続いてきました。ところで、そのスペインの金利は、先週から物凄い勢いで低下しています。これまでの逆相関関係に大きな変化がないなら、米金利は下がるどころか、むしろ大幅に上昇する可能性もありそうです。

⇒資料1【画像】はコチラ
金利

資料1.米金利とスペイン金利





◆9月QE3「当確」は本当なのか?!


 さらにFOMCでQE3を決めるということについても考えて見ましょう。

 <資料2>は、米国の政策金利であるFFレートと失業率を重ねたものです。このように見ると、米金融政策は失業率でおおむね説明できるもので、その政策金利がゼロまで引き下げられ、さらなる利下げができなくなったことから、QE1、QE2、そしてツイストオペなどと呼ばれる究極の追加緩和を続けてきたことが再確認できるでしょう。

⇒資料2【画像】はコチラ
失業率とFFレート

資料2.失業率とFFレート




 この究極の金融緩和を、「非伝統的金融緩和」と呼びます。ところで、さすがに失業率が改善し、この<資料2>を見ると、すでに「非伝統的金融緩和」ゾーンから外れてきたことがわかります。

 確かに、昨年9月ツイストオペを決めた時、一昨年11月、QE2を決めた時、それぞれ失業率は9%を上回っていましたが、最近は8.1%まで低下しているわけです。

 昨年秋以降、米景気以外の理由で、FOMCが追加緩和を続けた理由として、欧州債務不安がありました。ただそれも上述のように先週からちょっと劇的な勢いの改善となっています。こんなふうに見ると、本当に9月FOMCのQE3は「当確」なのかとも思ってしまいますが、どうでしょう?


【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など



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