為替需給は、貿易取引と資本取引に大別されます。ただ、資本取引のほうが、貿易取引の何十倍もあるので、単純化すると為替は資本取引で決まるということになるでしょう。その資本は、低い金利から高い金利に流れるのが基本です。以上からすると、「為替は金利で決まる」ということになるでしょう。


◆昨年10月と今年8月は同じなのか



その金利、米10年金利が昨年1年間で最も上昇したのは10月でした。それでも月足、つまり前月末終値と当月末終値の差で見ると0.2%の上昇に過ぎませんでした。

さて、そんな昨年10月と、この8月は似ているとの見方が一部にありました。キーワードは「不確実性」。

昨年最大の「不確実性」は、8月にかけての米国債デフォルト騒動でした。

超大国米国がデフォルトに陥るかもしれないといった前代未聞の事態を前に、金融市場の取引も経済活動も手控えられました。最悪の事態が回避され、手控えの反動で9月以降の景気が急激に改善し、それを景気指標で確認したことから、10月に大幅な金利上昇になったという解釈がありました。

今年、それに匹敵した「不確実性」が6月のギリシャ再選挙騒動だったとすると、最悪の事態が回避され不確実性の前に手控えられたことの反動で、7月以降、景気が急激に改善し、それを景気指標が発表される8月に確認するなら、上述のようにこの8月は昨年10月に似ており、金利の大幅上昇が起こる可能性があったわけです。

7月末の米10年金利終値は1.47%程度でした。したがって、14日から米10年金利が1.7%を超える動きとなってきたことは、途中段階ながらこの8月は、昨年10月を上回る米金利の大幅上昇ペースで推移しているということになるわけです。

ところで、最初に書いたように、為替は単純化すると、そんな米金利次第なわけですから、ドル円の見通しも、米10年金利がこのまま2%に向かうか、それとも1.5%に再び低下に転じるかが大きな鍵を握っているということになるでしょう。


◆「為替は金利」ということ



話はちょっと変わりますが、7月に韓国ソウルでセミナーをやった時のこと。質疑応答で、「日本では昨年3月の大震災後円安予想が多かったと思うが、なぜそうならなかったのか?」といった質問がありました。

これに対して私は、「米金利が下がって、ドル安になったためだと思います」と答えました。

「私は震災は別にして、昨年米金利が上昇すると予想し、だからドル高・円安になると考えていたのですが、そんな予想に反し、米金利低下となったため、ドル安・円高になったということだと思っています」

こんなふうに、為替を考えるうえで、金利に関する情報はとても必要なものです。ただその割に、金利に関する情報はまだまだまったく少なすぎるのかもしれません。金利に関する情報が増えてくると、もう少し為替についても先行きを考える手掛かりが得られるのではないでしょうか。(了)

吉田 恒氏

【吉田 恒氏】

1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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