[ストラテジー3]

上昇しきった銘柄をカラ売りして、下落局面も利益に変えよ


業績や4つのマトリックスから見えてくる妥当な日経平均株価は1万1154円。一時的に買われる局面では1万円超えもあるかもしれないと河合氏は見ている。

「しかし、上がるところまで上がったら、そこからは調整に入るはず。8000円台、9000円台は買い一辺倒でもよかったのですが、1万円超えあたりからはカラ売りに重点を置いた『ショート戦略』を組み入れることが有効になってくるでしょう」

冒頭のアンケートのとおり、個人投資家の多くはこれまでカラ売りをあまりしていないことが明らかになった。日経平均株価が1万円を超えた頃、「押し目を待っているのになかなかこない。このまま上がってしまいそうだから、今買わないとヤバイ」なんて思って高値摑みしてしまったら、その後に待っているのは塩漬け地獄だ。

「個人投資家はすぐに何かを買いたがってしまいますが、『買い』『売り』『ホールド』以外に、『何もしない』という選択肢があってもいいはず。来るチャンスを虎視眈々と狙って待ち伏せていればいいのです」



過熱気味の "上がりすぎ銘柄" を売り叩け!


では、どんな銘柄をカラ売りすればいいのか?

「カラ売りのターゲットは、一言で言うと "上がりすぎた銘柄"。まずは、単に『上がりすぎた銘柄』で、日経平均株価と連動するような大型株が当てはまります。もう一つは、マーケット全体の流れに後押しされるようにして『業績を伴っていないのにツレ高した銘柄』がターゲットになります」

"上がりすぎ" は業績面からも判断できるが、やはりテクニカル指標で見るのが手っ取り早い。

「私がエントリーの判断材料として用いるのは、『エンベロープ』と『ストキャスティクス』の2つのテクニカル指標です。さらに、天井を示すサインとして長い上ヒゲや十字線などの『ローソク足』も参考にします」

「エンベロープ」とは、移動平均線からの乖離、つまり移動平均線からどれくらい離れているかを示すもの。「ストキャスティクス」は買われすぎ・売られすぎを示すテクニカル指標で、「30%以下にある状態は売られすぎ、70%以上にある状態は買われすぎ」と判断できる。


テクニカルと業績で下落局面も収益化へ


右は、3月1日時点の野村HDのチャートだ。

「あくまで3月1日時点のチャートで高値を示している銘柄ですが、日経平均株価が1万円を超えた頃に同じようなチャートの銘柄があったら、それはカラ売りのチャンス。1万円を超えた頃からカラ売りの準備をし始め、『エンベロープ』と『ストキャスティクス』と『ローソク足』で急騰しすぎている銘柄を狙い撃つ。’12年度の業績ベースでPERが50倍を超えている銘柄か赤字企業、値上がり率ランキングの上位銘柄からさらに絞り込めば、下落を手堅く収益化できるでしょう。予想に反し上昇した場合に備えて、ロスカットの設定も忘れずに!」

ただし、注意点が2つある。

「業績が伴っている銘柄はカラ売りを注意してください。また、最近はさまざまな思惑によって低位株が活況を呈していますが、『低位株はカラ売りしない』ということを鉄則としましょう」

特に、’12年度の業績が芳しくない銘柄や業種が下の表だ。

"買いオンリー" の投資から、カラ売りを織り交ぜた新戦略で上昇・下降局面を収益化すべし!





河合達憲 氏

カブドットコム証券チーフストラテジスト。マクロから個別銘柄までトップダウンアプローチでの分析にも定評。『9割の人が株で勝てない本当の理由』(小社刊)が発売中



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この記事はYenSPA'12年春号に掲載されたものです。