[ストラテジー2]

浮かれすぎは禁物。業績から算出される株価は?



日経平均株価は’11年11月25日の安値8135円から、2月29日時点で1700円以上も上昇してきた。

「『相場は変わった』『これから始まる長期上昇相場の入り口』『最低でも1万3000円を超える』、なかには『2万円を超える』なんて強気筋も出てきました。確かに、売買代金の増加などから見ても相場の参加者は増えてきていますし、今まで含み損を抱えて身動きが取れなかった投資家も復活してきています」

信用取引における「貸借の回転日数」のデータを見ても、個人投資家の投資意欲が戻ってきていることがわかるという。

「日証金の貸借取引を開始した投資家が、そのポジションを何日で解消したのかを示すものが『回転日数』です。回転日数は通常10〜12日ほどで、これまで8日を下回ることはほとんどありませんでした。ところが、2月下旬には7・4日まで低下してきています。つまり、今までにないほど短期間で売買され、取引が活発に行われていることを意味しているのです」


日経平均株価2万円は極論だが、震災前の株価回復や1万3000円も見えてきそうな勢いだ。しかし、河合氏は、「本当にそうでしょうか? 相場はそこまで単純ではありません」と警告する。

「タイの洪水や震災の影響があった’11年度と比較して、’12年度は業績改善が見込まれ、『3〜4割増益見通し』がコンセンサスとなっています。確かに最近の力強い上昇には、この業績改善という根拠を伴っていると評価できます。しかし、浮かれ気分に水を差すようですが、日経平均株価1万3000円だとか2万円という数字には疑問符をつけざるを得ません」と否定的な見方だ。

では、’12年度の業績から考えて、妥当な株価はいくらか?

「将来の株価は『EPS(一株利益)×PER』で試算することができます。’12年2月末時点の日経平均株価は9723円で、EPSは430円、PERは22・59倍でした。’12年度を4割増益見通しとすると、EPSは602・6円となります。PERをざっくり16倍とすると、602・6円×16倍で『9642円』という株価が試算されます。これが、’12年度の業績予想からはじき出せる、日経平均株価の上限です」



[ストラテジー2]4つの側面から株価を分析する



株価を形成する要素には、「テクニカル」「需給」「マクロ」「業績」の4つのマトリックスがある。

「昨今の上昇で、テクニカル指標はどれを見ても完全に過熱感が出ています。対して、需給は非常に好回転していて好取り組みが続いていることから、まだ上値を取りにいけるというシグナルが出ています。マクロ経済に関しては、日銀が1%の "事実上のインフレターゲット" を導入し、金融政策としては評価できます。しかし、景気を浮揚させる景気対策は不十分なので△。一方で、業績は3割増益見通しと好調。しかも、12月の日銀短観によると、大企業・製造業の想定為替レートは77円90銭。3月末にこれよりも円安で着地すれば、為替差益による業績の上ブレが期待できます」

これらから、日経平均株価は1万円までは高くもなく安くもない居心地のいい水準ということ。

「しかし、永遠に右肩上がりが続く相場はありません『買い』だけでなく、上昇の勢いが止まった高値圏ではショート戦略も取り入れることが大事になります」



河合達憲 氏

カブドットコム証券チーフストラテジスト。マクロから個別銘柄までトップダウンアプローチでの分析にも定評。『9割の人が株で勝てない本当の理由』(小社刊)が発売中


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この記事はYenSPA'12年春号に掲載されたものです。