3日に発表された米7月雇用統計で、注目のNFP(非農業部門雇用者数)は久しぶりに事前予想よりかなり良い結果となりましたが、9月FOMCにかけての追加緩和、QE3観測には大きな変化がないようです。

ただ一方で、この雇用統計発表を前後して、比較的大きく変化したものもあります。その一つは米金利でしょう。

◆QE3の可能性は米2年金利で判断する



金融政策を反映するとされる米2年金利は、3日の雇用統計発表前までは0.2%割れ近くまで低下していました。ところが、雇用統計発表後、7日には0.25%を大きく超えて、約1か月ぶりの水準まで上昇しました。

では、金融政策を反映する米2年金利の、このような雇用統計「ビフォー・アフター」の動きはどのように解釈できるものなのでしょうか。

FOMCは今年1月、現行のゼロ金利政策を2014年末まで継続するとの方針を発表しました。現行のゼロ金利政策は、政策金利FFレートの目標を0-0.25%にするものです。

ところが、金融政策を反映する米2年金利が0.25%を上回ってきたということは、2014年末としているゼロ金利解除時期の前倒しを織り込み始めたということになるでしょう。

ゼロ金利解除の、2014年末より前倒しを織り込むということは、現行のFRB超金融緩和政策の見直しということですから、基本的には追加緩和、QE3どころの話ではないでしょう。

その意味では、米2年金利が安定的に、そして大きく0.25%を超えて上昇するかは、追加緩和、QE3観測の変化を客観的に確認する一つの目安だと思います。


◆「最も金利が上昇した昨年10月」、今年は8月?



では、米金利上昇は続くのでしょうか、それとも一時的なのでしょうか。

今まで述べてきた2年金利ではなく、長期金利の指標となる10年金利が、昨年最も上昇したのは10月でした。

実は、この8月は、そんな昨年10月と似ているとの見方あるので、米金利上昇が続くかを考える上で、それをちょっと考えてみたいと思います。

昨年10月に米金利が大きく上昇したのは、この10月から発表された9月の景気指標が急改善となったことが一因でした。それについて、「暗黒の8月」の反動を注目する考え方もあります。

昨年8月は、超大国・米国が国債デフォルトになってしまうかもしれないといった前代未聞の事態に接し、金融市場も急落に追い込まれました。ただ、この前代未聞の事態が回避されると、その反動の影響もあったようで、9月以降の景気指標は急改善となったのです。基本的に景気指標は一か月遅れでの確認となるため、景気悲観論修正に伴う米金利上昇は10月に起こったというわけです。

それと似たような出来事が、ギリシャ再選挙騒動だったなら、今年は「暗黒の6月」だったということになります。

ギリシャ再選挙を受けたユーロ崩壊といった前代未聞の事態が回避された反動が7月以降の景気指標を押し上げていることが確認されるなら、今年はこの8月が「最も金利が上昇する月」になるわけですが、果たしてどうでしょうか。 (了)

吉田 恒氏
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など

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