米ドルも冴えないけれど、もう一つの有力な外貨であるユーロは、世界経済を震撼させる欧州債務危機の主役だけに、そもそも上がらないどころか、まだまだ底が見えないのでしょうか。

でも、そんなユーロでも円に対しては、実は短期的にも長期的にも大底圏にあるかもしれないといった考え方もあるということを、今回はご紹介します。


◆絶望のユーロか、希望のユーロか


欧州債務不安などを背景に、ユーロは対円でも今年に入ってから2000年以来となる本格的に100円の大台を割れる展開となりました。

2008年には170円まで上昇していたことを考えると、まったく大暴落です。それでも、根深い欧州債務不安などを背景に、まだまだ底が見えない、つまりユーロ下落が終わる気がしないとの声は少なくないようです。

ところで、私は今回が「2000年以来となる本格的なユーロ100円割れ」であると書きましたが、その2000年のユーロ下落はどのようにして止まったのでしょうか。

ユーロ円の過去5年間の平均値、5年移動平均線からのかい離率が、その2000年のユーロ安局面ではマイナス25%を超えたところで、実はユーロ安は終わったのでした。

さて、足元の5年線は130円程度です。したがって100円を大きく下回るユーロ安の動きは、5年線からのかい離率が、その2000年のケースと同じようにマイナス25%を大きく超える計算になります。

2000年に起こった100円を割り込む「絶望のユーロ安」は、5年線からのかい離率がマイナス30%まで拡大することなく終わりました。

最近の「絶望のユーロ安」も、5年線からのかい離率で見ると、その2000年と同じ程度に拡大してきましたが、今回はそれでもユーロ安はとまらないのでしょうか。

今回は、世界を震撼させる欧州債務危機を受けた特別の「ユーロ危機」であるといった見方は少なくないのかもしれません。ただ、2000年の「絶望のユーロ安」局面も、「特別の危機」のようではあったのです。

当時は、欧州経済のスタグフレーションが懸念されていました。物価上昇と景気後退が同時に起こった結果、金融政策は物価対策の引き締めも、景気対策の緩和も動けず、なすすべない中でずるずる下落するユーロは、「絶望」に映っていたのです。

こういった中で、先進国が協調ユーロ買い介入を行ったことなどから、結果的には「絶望のユーロ安」は終わるところとなったのです。ただ、協調介入の効果なのか、それともさっき紹介した5年線からのかい離率で、すでにユーロ安がいつ終わってもおかしくない段階に入っていたので協調介入が効果をあげたのかは微妙です。

結果的に、2000年のユーロ安は、「絶望」と「希望」が背中合わせとなっていたのですが、5年線からのかい離率で見ると、そんな2000年と最近のユーロ安は似ているわけですが、それなら実は短期的にも長期的にもユーロは大底圏にあるのでしょうか。(了)


吉田 恒
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など