先日、あるラジオ番組で、最近出された本がベストセラーになっている方とお話ししました。その専門家は、「ドル高・円安へ転換する条件の一つは、今年の米大統領選挙でオバマ大統領が再選することだ」とおっしゃいました。

◆米政権、2期目の通貨政策大転換



「オバマ再選が、ドル高へ転換する一つの条件になるのはなぜですか?」と私が聞いたところ、その方の答えは、「変動相場制度移行後、2期8年担当した米政権は4回だが、そのほぼすべてが2期目に通貨政策を180度転換していたからです」との回答でした。

例えば、クリントン政権は1993年から1期目が始まりましたが、冷戦崩壊後最初の米政権として、経済冷戦の勝利を目指したかのように日米貿易摩擦に積極的に取り組み、その中で円高容認政策を採用しました。

ところが、1997年からの2期目クリントン政権は、ルービン財務長官の「強いドルは国益」といった言葉に象徴されたように、ドル高容認政策に動いたと見られました。円高容認からドル高容認、まるで別人となったように、通貨政策は転換されたのでした。

そんなクリントン政権以上のドル政策「激変」は、レーガン政権だったのではないでしょうか。

1980年から始まったレーガン政権は、ビナインニグレクト、「優雅なる放任」とばかりドル高容認政策を採用しました。

ところが、1984年から2期目に入ると、1985年にはプラザ合意を主導しました。つまりドル切り下げ政策に動いたわけです。


◆オバマがドル高容認に転換する?!



オバマ政権は、これまで通貨政策を明言しているわけではありません。ただ、オバマ大統領が、政権発足間もなく、輸出倍増計画を発表したことはよく知られています。その計画は、ドル安なくして達成は難しいものとの理解が専門家の間では基本だったので、その意味では「無言のドル安政策」をとっていたとの理解が普通でしょう。

ではそれを、オバマ2期目に入るなら、別人となったようにドル高容認に転換するのでしょうか。

たとえ米国でも、経済状況次第で通貨政策の変更も無理があるかもしれません。

例えば、FRBが現在表明しているように2014年まで低金利を続け、その中で緊縮財政も変わらなければ、経済学的にはドル安は持続困難になります。

その意味では、通貨政策の転換も、経済情勢の変化、とくに金融緩和から引き締めへの転換が可能な経済情勢へ変わっていくかが重要な前提条件になると思います。 (了)


吉田 恒
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など