先週金曜日(7月6日)、FXの投資家たちも大いに注目する米雇用統計という景気指標の発表がありましたが、あまりパッとしない結果でした。

「どうやら米国の景気も冴えないようだから、高い利回りを期待した外貨投資はまだまだ難しそうー」、そんな声が聞こえてきそうですが、でもこの外貨の低金利が「大間違い」だとしたら、どうでしょうか?

資料1>は、その雇用統計とともに代表的な米景気指標の一つであるISM(米供給管理協会)製造業景況指数を米金利(長期金利からインフレ率を引いた実質長期金利)に重ねてみたものです。

※資料1⇒


これを見ると、未踏の領域まで達している最近の米金利低下は、今までまったく経験したことがない、米景気で説明できない動きであることがわかるでしょう。

こんなふうに見ると、米金利が低いのは、必ずしも米景気が冴えないからではないようです。それにしても米金利は低い、その原因は何かといえば、欧州危機のようです。

資料2>は、今年3月以降の米長期金利(10年債利回り)に、欧州債務危機をこの数か月代表する動きになっているスペイン長期金利(10年債利回り)を、軸を反転させた上で重ねてみたものです。

※資料2⇒


このように見ると、米景気で説明できない米金利低下は、3月以降についてはスペイン危機を受けたスペイン金利上昇と連動してきたことがわかるでしょう。

以上から、米金利がすごく低いのは米景気が冴えないからということより、欧州危機のせいといえそうなのがわかるでしょう。

それにしても、欧州危機は根が深そうだから、それと連動した米金利の低い状態はまだまだ変わらないということで、やはり結論は同じではないかと思いますか。

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

どちらにしても結論はすぐにでも出そうな、そんな重大岐路に差し掛かっているということはいえそうです。

資料3>は、スペインと、そして今年1月までスペインより欧州債務危機を象徴していたイタリアの長期金利を過去1年間見たもの(軸反転)ですが、両者はともに7%が「天井」になっていました。

※資料3⇒


これを超えないように、欧州の政策当局も「防衛ライン」としてきたのかもしれません。

さて、スペイン金利はまさに足元でその「防衛ライン」7%突破の攻防となっています。

今回も「防衛」成功か、それともついに「防衛ライン」突破か。どちらにしても「決戦の時」を迎えているようです。

そしてそのスペイン金利は、米景気で説明できないといった意味では「異常な米金利低下」の運命も、実は左右することになりそうなのです。(了)

【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2J FXアカデミア」の学長も務めている。

2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。

著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
吉田恒