株式市場では'11年秋頃から、株価が100円台と低水準の中小型銘柄が次々と急騰している。大物相場師として知られる加藤暠氏が相場をつくっているとの見方が兜町の通説になっている。兜町の裏事情に詳しい株式ジャーナリストの大神田貴文氏に聞いた。

「加藤氏はバブル期からたびたび大相場を演出してきました。相場操縦の疑いで逮捕歴もありますが、取り調べにも資金の出所を口外しなかったことで、カリスマ視されるようになったのです」

同氏の手掛ける株は "K氏銘柄" などと隠語で呼ばれる。そんなK氏銘柄の代表は新日本理化。

「加藤氏が主宰する投資グループ『般若の会』が持ち上げ、昨年10月の200円台から、2月には1200円近くまで上昇しました。"第二の新日本理化" はMUTOHホールディングス。また、加藤氏周辺人物が『あすなろ会』なる投資グループを立ち上げ、特定銘柄を集中売買している。最近では、福島銀行に力を入れているとか」

ターゲットには共通点がある。

「まず、株価の絶対水準が低いこと。1000円もする銘柄より200円のほうが株価を急騰させるには好都合だからです。しかも、発行株数が少ない小型銘柄だと買い仕掛けの効果が表れやすい。また、業績回復に乗るのも特徴。新日本理化も4期末ぶりに復配します。株価上昇の下地のある銘柄を的確に選び抜いているのです」

選挙との関連も囁かれる。

「政治家が資金づくりに加藤氏を利用しているので、摘発されないという噂も。確かに、ルックや丸山製作所を持ち上げたときは、’03年11月と’05年9月に衆院選がありました。そう考えると、近く『消費税解散』があるかもしれません。

加藤氏は70代と高齢のため、今回の仕手戦で引退との観測も」






大神田貴文 氏

株式・経済ジャーナリスト。株式や為替などに明るいだけでなく、金融や経済政策も専門とする。個別企業の裏事情も握る



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この記事はYenSPA'12年春号に掲載されたものです。