円高から一転、円全面安。年為替相場のトレンドは大きく様変わりしたが、この先はどうだろう。

そこで3人の識者に、米ドル、ユーロ、豪ドルの3か月先の予想レンジを聞いてみた。

「日本が貿易赤字に転落したこと、日銀がインフレ目標的な緩和策を発表したことなどが要因となり、短期では円安傾向は続くでしょう」とは、第一生命経済研究所の永濱利廣氏。とはいえ、この円安はあくまでも夏までとの見方だ。

「インフレ目標も『いつまでに』といった具体的な期間と目標達成のための手法を明らかにしていないため、さらなる踏み込みが必要です。円安効果は限定的でしょう。新興国のインフレ懸念、アメリカのブッシュ減税縮小による民間の負担増などのドル安要因を先取りする形でリスク回避の動きが高まり、今秋以降は再び円高になると予想します」(永濱氏)

まだまだ混迷極めるユーロ不安もあり、永濱氏は米ドル80円割れ~85円前後、ユーロ100円台前半~110円前後、豪ドルは80円台前半~91円前後と予想する。


アメリカの景気回復をどうみるべきか



一方、米ドル78~84円、ユーロ100~115円、豪ドル80~90円と予想するのは、バークレイズ銀行の山本雅文氏だ。

「米ドルは調整の範囲で78円前後までの円高はあるにせよ、消費税増税法案が通らず将来の税収が確保できない場合の日本国債の格下げや経常収支の悪化への懸念、また、日銀の追加緩和策などの要因で、円安トレンドに入ったと見ています」(山本氏)

加えて、アメリカの景気回復継続もドル高・円安要因だと付け加える。「また、QE3のような大規模な追加量的緩和期待が後退しました。仮に金融緩和が行われても、モーゲージ債の購入など住宅市場に焦点を絞ったものにとどまるでしょう」(同)

ユーロ/円については横ばい、もしくはもみ合いが続き、豪ドルについては利下げもありえるが、すでに織り込んでおり下落は限定的で、80円ぐらいまで下げることがあれば、そこは絶好の買い場と見ている。

最後にトレーダーの三空氏は、次のように予想する。

「米ドルは調整が入ったとしても78円台中盤ぐらいまで。日銀の金融緩和策から円はどの通貨に対しても弱含んでいます。ECB、FRBが更なる金融緩和策を出さない限り、再び75円台に戻ることはないでしょう。高値は、一度押して揉んだ後ブレイクするのが3か月後と考えると85円ぐらいでしょう。加えて、2月14日から27日(取材日前日)までの米ドル/円の上振れ幅(14日の米ドル/円の終値
78・4円と2月27日の高値81・6円)をpipに換算すると320pip。この数値を基準に考えても、米ドルは78・5円~85円ぐらいです。同様に同一期間でユーロ/円の上振れ幅は687pip、豪ドル/円の上振れ幅は356pip。そこからユーロ96円~116・6円、豪ドル83・8円~90・92円とレンジを予想します」





永濱利廣氏

第一生命経済研究所 主席エコノミスト。’08年4月より現職。『経済指標はこう読む』(平凡社新書)など著書多数


山本雅文氏

バークレイズ銀行 チーフFXストラテジスト。円相場を中心とした主要通貨の分析、ストラテジー策定&予測に従事


三空氏

株、CFD、FXなどを手掛ける個人投資家。Twitterアカウント:@39usdjpy、コラム:http://finance.toremaga.com/inspecial/39/



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この記事はYenSPA'12年春号に掲載されたものです。