不動産から風俗経営まである多様な不良ファンド




【不動産系ファンド】



扱う金額が大きいだけに利益も大きな不動産投資。不良ファンドの場合「基本は開発への投資」だと前出・Sは言う。

「不動産投資関連のフロント企業の社長や組と付き合いのある事業家に出資。マンションや宅地開発に便乗させてもらう」

不動産系ファンドの胴元となる投資家が手数料10%を徴収。残りの利益を配当する仕組みだが、何よりもこのファンドの魅力は元本保証されている点だ。

また、抵当権者の多い競売物件専門の不動産業者に出資する場合、債権者である金融業者から情報が流れることが多く「後輩の若い不良に競売妨害や昔ながらの占有をやらせることもある」(同)とか。

だが、震災後はこの不動産系ファンドの内容も少し複雑になりつつあるという。

「被災地の土地取引はほぼ大手業者に牛耳られ、どこの土地価格が上がるかわからない状態。高台の土地買い占めなども監視が厳しいので、これらのファンド募集は裏の〝エラい人たち〟がやっている。自分が出資しているのは、中古マンションの買い取り業者や震災被害に遭った家屋の再建築事業向けのファンド。出資先は開発業者ではなく、地元の不動産業や建築業ですね」

現地の不動産・建築業もまた震災で多くの財産を失っているなか、用地取得費用や工事にかかる資材購入費、人件費などの経費を立て替える資金がない。事業融資や助成金の決済も遅く、自転車操業すらできない業者に投資するファンドだ。

「胴元は業者に貸付する闇金業者だったりするけど、大した利回りはない。ただし、今後も需要増が見込め、大規模な開発事業に太いパイプがなくても絡めます」

現況では、被災地以外の建築業者に投資してもあまり旨みはない。だが、被災地なら「助成金などで黒字化し、何より東北は人件費が安い」(S)とのこと。

建材自体の流通が拡充され、建築制限区域が明らかになる今後が、このファンドの本番か。



【闇金系ファンド】



「本来、闇金はファンドでカネを集めて開業するよりも、オーナークラスが下部組織に投資して稼いだプレイヤーがオーナーになって、下部組織をつくるという世襲制みたいな部分がある。この闇金系ファンドで多いのは、例えばクレジットカード現金化。初期投資がかかって、決済まで時間がかかるから資金が必要なんだ」とは自身が闇金オーナーである前出・Uだ。

カード現金業者はカード代理店登録していても、決済は翌月。そのため、運転資金として立ち上げ時にファンドを募集するケースがある。新規事業立ち上げの場合、配当は元本に利息(年利300%)がつくうえ、利益分も出資比率に応じて均等に分配される。

「震災後、被災地向けの闇金系ファンドが立ち上がった。太いのは2種類あって、1つ目は被災地の零細企業向けの事業資金融資を扱う闇金。もう1つは被災地に元々存在した闇金に運転資金を提供しつつ、片っ端から債権を買い取るというもの。前者は建築・土建業向けが多いね。後者の債権買い取りは相当買い叩きますが、意外に不良債権にならないのが、東北人の『闇金でも借りたものは返す』という真面目な性格があるから。闇金なのに、債権者の親戚からでも取り立てられる。関東じゃあ、考えられないよ」(同)

この場合、配当は純利で分配し、ファンドというよりは共同経営に近い。債権自体を相当買い叩いているため、利回りは年利500%を優に越し、それらの債権を多く集めた闇金業者はさらに大きな利益を上げているという。



【詐欺系ファンド】



他人名義の携帯電話(トバシ携帯)が1台あれば、開業できそうな詐欺稼業。だが、実際は事務所開設や通信環境、名簿購入などに費用がかかる。また、大規模な社債詐欺ともなれば、休眠会社の登記や偽造債権や法人サイトの立ち上げも必要で、初期費用に1000万円かかることも少なくない。だからこそ、不良ファンドが必要なわけだが「これはかなり博打性が強い」とUは話す。

「不良ファンドでは珍しく元本保証ナシ。短期で崩壊の可能性も高く非常にリスキーなため、ファンドと言っても出資者は多くて4人集まるかどうか。相互に信頼関係が必要だね」(U)

さらに、その配当方法も独特だ。「一つのターゲットで詐欺が成功したら、その都度翌日払いでプレイヤー(詐欺の電話などをかける尖兵)や出し子に10%ずつ分配する。出資者は週1回ほどの頻度で額に応じた配当を受けることができる。リスキーだけど、そのぶん配当額は平均20000%とかなり大きい」(同)

また、出資額と利益が比例せず、チームの実力で配当額が大きく変動するのも詐欺ファンドの特徴。優良ファンドであれば300万円の投資が1か月間で1000万円になって戻ってくるケースもザラ。年利にすれば実に4000%という高利回りだ。

「実際は、とある詐欺オーナーが別のチームの出資者だったり、と詐欺の勝ち組が資金を融通し合っていることも多い。自分のチームだけでは崩壊時の再立ち上げが大変だし、どんなに長いチームでも2〜3か月で一旦は解散して休業にするのが基本。リスクを分散させているんです」(S)



S氏(25歳)

初期のオレオレ詐欺に十代から携わり、現在は詐欺組織の幹部を務め、不良ファンドへも投資


U氏(34歳)

社債詐欺幹部などを経て、現在は闇金とキャバクラのオーナー。裏も含め総資産9000万円