含み損にも愛情を? 

1・4時間足とSMA、平均足で "育てる" 新種のトレーダー



専業トレーダーともなれば、一日中チャートに張り付いているもの。瞬間的に訪れるチャンスを逃さず、1銭、2銭の値幅取りを貪欲に繰り返す肉食系スキャルパーも少なくない。だが、FX歴3年の専業トレーダー・カンキチ氏は、まったくもって対照的。

「スキャルは合わないんです。何度やっても『コツコツ儲けてはドカンと負ける』の繰り返し。それで、今のスタイルに変えました」

得意とするのはスウィングトレード。1時間足と4時間足を使って、1トレード5枚で100pips以上の値幅取りを狙うのがカンキチ氏のスタイルだ。これで、月平均20万~30万円程度をコンスタントに稼ぎ出しているという。

「チャートに表示しているのは5・20・75・200・800のSMA(単純移動平均)ぐらいです。200・800などの長い時間足の角度でトレンドを確認して、同方向にエントリーするのが基本。狙うのは押し目・戻りです。その際に、使うのは20ないし75のSMAや週足のピボット」

ピボットは前日の価格を用いて、当日のサポートとレジスタンスの水準を予測するテクニカル指標。「(前日高値+前日安値+前日終値)÷3」で「ピボット値」を弾き出し、「ピボット値×2」から前日高値を差し引くとサポ①、安値を引くとレジ②という具合に、その日の高値・安値目途を導き出す。

「下降トレンド中に戻りをつくりにいってSMAやピボットのレジスタンスで再度、下落に転じたら、売りの準備をします。陰線の平均足が2、3本出たのを確認してショート。シンプルすぎて、参考にならないかも……」

確かにシンプル。平均足は同じ色の足が続きやすいローソク足。トレンドフォローのトレーダーにとってはポピュラーなテクニカルだ。これなら、簡単にマネできるかも……と思ったら、カンキチ氏には、ほかのトレーダーと決定的に違う部分があった。




1トレードで400pips以上の利益を "育て上げる" ことも!



「1時間・4時間足でトレードするので、150pipsぐらいのロスカットを想定しています。200pips我慢するときもある。リーマンショック後にユーロ/円が反発したときは、売り向かって700pips以上の含み損を抱えました。じっくり待つのが性に合ってるんですよ」

とにかく我慢強い。利益確定も同様だ。8月にユーロ/スイスフランが急落した際には、急反発をグッとこらえながらショートで400pips以上の含み益を取ったという。基本は、5と25などの短いSMAのクロスや平均足の色の転換を手じまいのサインとしているが、強いトレンドが発生していると判断すれば、とことんまで利益を伸ばす。

「私、文系思考なんですよ。苦しいときも嬉しいときもFXと一緒にいようってタイプ。理系の人みたいに、含み損を抱えたからって、無下に切れない。せっかく長いことホールドして育てたんですから」

育てるって……その愛情、かなり屈折してます!

「1時間足とかでトレードしてると、チャートを見るのは1時間に1回程度。なので、畑をつくって野菜を育てようと思ってるんです」

唐突にそんなことまで言い出す、カンキチ氏。ポジションと野菜に愛情を注ぐそのスタイルに名前をつけるとしたら草食系人情FXってところか。新種のFXトレーダーであることは間違いない。




カンキチさん


【技】草食形人情FX


5・20・75・200・800のSMAでトレンドを把握し、1時間ないし4時間の平均足を使ってエントリー。含み損を抱えても愛情を注いで、大きな利益に育つまで待つ