今、投資すべき新興国・地域はどこだ




ここまで新興国のアクティブファンド選びのポイントを具体的に解説してきたが、ここでは投資先にしたい国・地域の見つけ方を紹介する






「アメリカでは、今年8月以降に新興国に大きな解約が出ました。従って現段階で新興国ファンドを売らないといけない投資家はすべて売り終わったということ。その観点からも、今は新興国に投資するいい時期といえます」と教えてくれたのは、前出の広瀬氏。アメリカの調査会社EPFRグローバルによれば、7月中旬から8月中旬までで114億5500万ドルと、今年最大の流出額を記録。広瀬氏が新興国に長期投資する際に参考にするのはポピュラーな「GDP成長率」ではなく、「人口動態」と「海外直接投資」の2つのデータだ。

「一般的な機関投資家は長くても2年程度の投資期間しか想定していませんが、もっと長い10~20年単位の投資期間を想定した場合、信頼できるデータは人口動態以外にありません。人口動態は人口の構造を示すデータで、人口が増えているのか減っているのか、どの年代が多いのかがわかります。例えば、日本は60代以上が多い高齢者文化の国ですが、中国は40~50代が多い中年文化の国、ブラジルは30代が多い若者文化の国、インドは10代が多い子ども文化の国。人生でもっとも所得が高く、お金を使う世代は40代くらいで、人口動態でその世代が多い国は消費、内需が活発になります」

生産年齢(15~65歳)人口の世代が多いと豊富な労働力で高度経済成長が可能ないわゆる「人口ボーナス」が効くことになる。

「もう一つの海外直接投資というのは、海外の事業主がその国にいくら投資をしているかを示すデータ。株や債券の投資家とは異なり、事業主は安易に撤退できないことから、綿密に調べてから投資をしますから、彼らのコバンザメになればいい。海外直接投資が増えていれば、将来にわたって息が長い資金流入が期待でき、その国の経済発展を支えることになります」



長期的に見れば中国、ブラジルの他、インドネシアが有望!



以上をふまえると、主な新興国の評価は以下のようになる。

◎中国
 PER12倍。海外直接投資の金額は新興国でダントツ。利上げサイクルはそろそろ終盤で、今後は株価上昇の可能性が高い。

◎ブラジル PER9倍は歴史的に見ても割安。’14年サッカーW杯、’16年オリンピックの開催を控えて経済は過熱気味。為替が強くなると経済にはダメージも。

△ロシア PER6倍はBRICs諸国でもっとも低いが、万年低いので特に割安でもない。株価は原油価格次第の側面も。

○インド PER13倍。海外直接投資が増えており、規制緩和が進めば、中国の次の時代に有望。

◎インドネシア アセアン諸国ではファンダメンタルズがもっともよく、株価の上昇余地もある。

×マレーシア 株価は昨年上昇したが海外直接投資の金額は大きく落ち込み、今後の成長に疑問。

○タイ アセアン諸国の中心、インドと中国の中間という地の利を生かして製造業が根付いている。

◎フィリピン アウトソーシング事業で、インド型の成長に期待。

△韓国 自国通貨買いの為替介入などファンダメンタルズに不安。

◎エジプト ファンダメンタルズは悪く、買い材料はないものの、9月に総選挙があり、注目され直せば株価は底をつける可能性も。

△トルコ 韓国同様、自国通貨買いの介入を実施。欧州にとって身近な新興国で、EUへの参加期待で慢性的に過大評価されている。

△南アフリカ 台湾、韓国のように経済は先進国的に整備されて成熟。アフリカの成長に乗るならエジプトよりは南アフリカが買い。

インドネシアやフィリピンの株価は上昇基調で、アクティブファンドも発売中。BRICsに飽き足らない人はチェックしてみよう。


広瀬隆雄 氏

投資顧問会社・コンテクスチュアル・インベストメンツ代表。長年、海外の金融商品の売買に携わり、なかでも新興国銘柄を得意とする。ブログ「Market Hack」を運営。