組入銘柄と銘柄数、売買回転率を見て運用力を極めろ!



2人が実際に投資している新興国アクティブファンドは、本誌71ページ上表のとおり。どういう基準で選んでいるのだろうか?

「成長が期待でき、人口も多いアジアの新興国が狙い目だと思います。でも一つの国に絞るのは難しいですし、マーケットの脆弱性を考えるとリスクも大きいので、できるだけ分散できる銘柄を選ぶようにしています。さらに積み立て投資にすることで、時間分散もでき、リスクが減らせる」と言う深野氏は、「JPMBRICS5」や「アセアン成長株」「アジア株オープン」など、複数国にまたがって投資するファンドを多く保有している。

「あと、自分では持っていませんが、オススメなのは『アジア製造業ファンド』。世界の工場であるアジアの製造業に特化したアクティブファンドで、市場が分散されていますし成績もいいですよ」(同)

保有銘柄にJPモルガンのファンドが多いのは偶然か?

「JPモルガンは銘柄選択が個性的で、ヘンな銘柄が入っていることがあって、当たると大きい。しかも、いけると思えば思い切って集中投資もしますから、株式市場の上昇局面ではベンチマークより大きく基準価額が跳ね上がることがある。もちろん、ハズれると痛いですけど、JPモルガンくらい個性的なほうがアクティブを買う醍醐味があるといえます」(同)

さらに深野氏が注目しているのは「組入銘柄数」と「売買回転率」。

「組入銘柄数が少ないと、リスクも増えますが、調査能力に自信がある証拠ともいえます。また、売買回転率は1を超えると1年ですべての銘柄が入れ替わっていることを示す数字。これが1を超えて、しかも成績が伴っていれば、そのファンドマネジャーが市場の変化を捉えられている証拠です」(同)

一方の犬山氏は、個別株で投資している中国やインド以外の新興国で、アクティブファンドを活用していると言う。

「その国を変える大きな出来事から20年後に経済成長が始まる、という持論があるんです。例えば、日本は’45年の終戦から20 年後の’65年から20年間、高度経済成長が続きました。同じことが中国で起こるなら、’80年代後半の民主化運動がそのきっかけになるはず。すると’20年くらいまで経済成長が続くのでは、と推測できるので、今は中国を中心に、BRICSと中国の恩恵を受けるアセアン諸国に投資しています」(犬山氏)

そして、アクティブファンドで注目するのは組入銘柄だと言う。

「自分が知らない銘柄が上位にあるようなファンドが好きですね。国際優良株が上位に入っていたらインデックスと同じような成績しか期待できませんから。あとは、長期投資の途中で償還されると困るので純資産総額もしっかり確認します。株価が下がって資産総額が減るのは仕方ないけど、資金が流出しているようなら注意。そして、できるだけ分配金を出さず、複利でキャピタルゲインを狙える銘柄がいい」(同)

2人の保有銘柄を参考に投資を始めてもいいし、今保有している銘柄が2人の基準に合うかどうか、運用報告書をチェックしよう!





アクティブとインデックス投信、コストとパフォーマンスの比較



今回は新興国のアクティブファンドを取り上げているが、コスト面を考えればインデックスファンドが圧倒的に有利だ。例えば、香港を中心とする中国市場に投資するファンドの信託報酬を比較すると、アクティブの「JFグレートチャイナ」は1・8%、「HSBCチャイナ」は2・09%なのに対し、インデックスの「香港ハンセン指数ファンド」は0・82%と、1年間で約1%の差が発生する。アクティブファンドはインデックスに10年で10%、20年で20%の差をつける必要があるのだ。

では、実際の運用成績はどうなのか。上のチャートは過去2年の「JFグレートチャイナ(緑)」と「HSBCチャイナ(青)」、そしてインデックスの「香港ハンセン指数ファンド(赤)」を比較したもの。この期間の比較では、HSBCチャイナは運用成績でも手数料でもインデックスに負けてしまっているが、JFグレートチャイナは手数料が気にならない成績だ。
どちらが正解かは投資期間と投資家の気持ち次第。だからこそ、投資期間中も銘柄研究を怠るな!





深野泰彦 氏

ファイナンシャルリサーチ代表。ファイナンシャルプランナーとして新聞やマネー誌、講演などで幅広く活躍。豊富な情報量と市場分析で個人投資家の高い信頼を得ている。自らも新興国やFXなど、アグレッシブな投資を実践中。

犬山香子 氏

ファイナンシャルプランナーの資格を持つマネーライター。マネー誌や経済誌、書籍などで原稿を執筆。いち早く中国株の可能性に気づき、’01年から中国株投資を開始。数千万円の利益を上げて、現金でマンションを購入した経験も。