【原油CFD】WTI、ブレントはもちろんニッチな銘柄も種類豊富



原油CFDの魅力は、先物よりも少額で取引できて、より大きなレバレッジが掛けられること。先述したように国内先物の「原油」のレバレッジは約15倍、海外先物の「WTI原油」は約17倍だが、CFDの場合、取扱業者や銘柄によっては20倍までレバレッジを効かせることができる。

しかも、先物取引では1回の取引(往復)で500〜1000円程度の取引手数料を支払うことが多いが、CFDの場合は、手数料を無料としている業者が珍しくない。資金効率の点でもCFDに軍配が上がりそうだ。

銘柄の種類も、先物よりも原油CFDのほうが充実している。

「先物は、取引所に発注する環境が必要ですが、CFDはその環境がなくても、原資産を元に業者が提示する価格で取引できるからです」と語るのは前出のドットコモディティの吉田哲氏。

原油CFDの銘柄の種類は、金CFDと比べても充実している。原資産である原油相場がニューヨーク(WTI)、ロンドン(ブレント)など複数の市場に上場していることに加え、ガソリンやヒーティングオイル(暖房油)、軽油など、石油製品の値動きに連動する銘柄のバリエーションも豊富だからだ。

ただし、CFD業者によっては銘柄の種類が限られている場合もあるし、そもそも金や原油などのCFDを扱っていない会社もあるので事前に確認したいところだ。

ちなみに、ヒーティングオイルとは、米国で家庭のセントラルヒーティングのボイラーなどに使用される石油製品のこと。寒い冬の暮らしに欠かせない製品であり、在庫統計や天候などの影響によってはWTIよりも大きく値が動く可能性があるという。





CFDビギナーならWTIなどのメジャー銘柄がベスト



自動車大国である米国ではガソリンも活発に取引されている。特に、環境規制の強化とともにRBOB(アールボブ)と呼ばれるバイオエタノール混合型ガソリンの商いが大きくなっている。景気の変化とともに米国の自動車保有台数や稼働率に動きが出ると、WTI以上に値動きが激しくなることもあるようだ。同じガソリンでも、米国上場の銘柄のほかに、英国上場の銘柄を用意しているCFD業者もある。こうしたニッチな銘柄は、現地のマクロ経済や消費動向などを丹念に調べ上げないと取引するのは難しいが、より大きな値幅を稼ぎたいのであればチャレンジしてみてもいいかもしれない。

とはいえ、初心者であれば、まずはWTI原油、ブレント原油などのメジャーな銘柄から取引を始めてみるのが無難だ。スプレッドやレバレッジの大きさ、証拠金額などをもとに、どの業者の銘柄を取引するのかを選べばいいだろう。

しかし、「最近はWTIよりも、むしろブレント原油のほうが世界全体の原油相場の動きを反映しやすくなっているようです」と吉田氏は説明する。

そのきっかけは、昨年末から今年にかけて中東・北アフリカで繰り広げられている民主化暴動だ。冒頭に述べたように、一連の暴動によって中東・北アフリカにおける原油生産の停滞が懸念され、今年4月に原油相場は大きく跳ね上がった。このときWTIよりも大きく値を上げたのがブレント原油。2月半ばのピーク時にはブレントの価格がWTIを20ドル近くも上回った。実はこれは、かつてない異常事態だったのだ。

そもそも世界の代表的な3つの原油であるWTI、ブレント原油、ドバイ原油は、それぞれ異なる性質を持っている。3つの中でもっとも質がよいとされるのはガソリンや軽油がより多く精製できるWTI、次いでブレント原油、ドバイ原油の順だ。そのため、これまでは3つの原油価格の中でWTIがもっとも高く、他の2つがそれに追随する動きを見せるのが一般的だった。にもかかわらず、今回の中東暴動によってブレントの価格がWTIを大きく上回ったのは、中東情勢に対する市場の不安をより鮮明に映し出したからだとみられている。

「これまで、世界最大の原油消費国でもある米国のWTIが世界の原油相場の指標として認識されてきましたが、今後はブレント原油がその役割を担うことになるのかもしれません」と吉田氏は言う。

逆に最近のWTIは、世界情勢よりも、むしろ米国固有の事情によって変動しやすい傾向が表れているようだ。

「WTIは、米国の個人消費や原油の在庫状況、株式市況、ドル相場などの影響をより色濃く受けやすくなっているように感じます。今後、原油CFDの銘柄を選ぶときには、世界市場の動きに沿って利益を狙うならブレント原油、米国経済の動きをもとに取引するならWTIと、使い分けてみるのも面白いですね」と吉田氏は言う。

最大で20倍のレバレッジが掛けられる原油CFD。その分、ETFや先物取引に比べて値動きは大きくなりやすい。

それでなくとも、原油に代表されるコモディティの値動きは為替や株価の動きに比べて激しい、ロスカットはしっかりと行うことが大切だ。

さらに、吉田さんが続ける。

「CFDの仕組みは基本的にはFXと変わりませんからある程度FXの経験がある人ならロスカットの入れ方にも慣れるはず。とはいえ、最初はレバレッジを抑えめにして、原油の値動きのクセをある程度勉強したほうがいいと思います。とにかく原油相場の動きは株式の現物などに比べて速いので、流れに乗って順張りで攻めることも一つの戦略になるのではないでしょうか」

逆張りを仕掛けると、反転を待っている暇もなく値が大きく動いて、たちまちロスカットされることが珍しくないようだ。

「乱高下を好んで、短期で売買する方もいらっしゃるようですが、もし長期でポジションを保有するのであれば、証拠金を多めにしたり原油銘柄の中でも取引期限のない『スポット』での取引が適していると思います」(吉田氏)

ちなみに、原油CFDはスワップポイントの受け渡しが発生しないことが多い。むしろ、金利を気にすることなく取引に専念できると割り切ったほうがいいのかもしれない。





吉田哲氏

ドットコモディティ株式会社コモディティ・アナリストとして、メディアへの出演・コメントの提供を通じて幅広くコモディティ情報の発信を行う。コモディティ専門のオンラインセミナーを毎週2回配信中