中長期の値上がりを見越して、調整局面の今、仕込め



「CFDの基本的な仕組みはFXと同じ。コモディティ(商品)版FXと考えれば間違いないでしょう」

〝ゴールドラッシュ〟の再来!と、大狂騒の真っ只中にある金とは対照的に、〝ジリ貧〟の様相を呈している原油。8月末時点の原油相場を見ると、代表的な指標のひとつである米国のWTIが1バレル85ドル前後と今年前半に比べて20ドル近く下がっている、だが、その一方で年内に100ドル台を回復、数年先には120〜150ドルまで上昇するとの見方があるのも事実だ。

原油の場合、金と違って現物を売買することはできないが、原油相場に連動する金融商品は国内先物、海外先物、ETF、CFDなど種類豊富だ。なかでも、少額で手軽に投資できる商品といえば、やはりCFDだろう。WTI(米国)、北海ブレント(英国)など、異なる市場の銘柄が豊富にそろっており、先物に比べてレバレッジが大きいのも魅力である。

円高は必ずしも原油高の要因にはならないものの、「ドル安=原油高」の傾向は強く、今後もじりじりとドル安が続けば大儲けできる可能性は高そうだ。というわけで、知られざる原油投資の魅力を徹底的に掘り下げてみた!





中国の〝爆食〞で原油価格は数年以内に150ドル説も!?



昨年12月チュニジアで起きた民主革命をきっかけに、北アフリカ・中東の国々で民主化運動の嵐が吹き荒れたのは記憶に新しい。この動乱の影響で今年前半の原油価格は大きく上昇した。

「世界最大の産油地域である中東と北アフリカの石油生産が停滞し、供給が大幅に減少するとの見通しが広がったからです。実際、8月にカダフィ政権が崩壊したリビアは、日量160万バレルとアフリカ2位の石油生産量を誇っていたのですが、動乱後は5万バレルまで急減してしまいました」と語るのは、世界の石油問題に詳しい丸紅経済研究所代表の柴田明夫氏。

その結果、年初には1バレル90ドル前後だったWTI価格が4月には一時114ドル台まで跳ね上がった。米国の量的緩和第2弾(QE2)が6月末まで続き、市場に資金が溢れ返ったのも原油相場を大きく押し上げた要因だ。

しかし、その後のWTIは8月末時点で85ドルまで下落している。米国が値下げを誘導したのだ。

「原油の輸入価格とともにガソリン価格が高騰すると、米国の国内消費が冷え込む恐れがあります。それを避けるため、米国は原油価格がある程度上昇すると、原油の戦略在庫を放出したり、中東の同盟国であるサウジアラビアに増産圧力を掛けたりして原油供給を増やしたのです」(柴田氏)


カダフィ政権崩壊で原油は再び上昇か?



しかし、在庫放出などで一時的に供給を増やしたとしても、長期的に見れば、世界的な石油の供給不足の状況は年を追うごとに深刻化するというのが柴田氏の見方だ。

最大の理由は、急激な経済成長を遂げている中国など新興国の需要の拡大である。中国の石油消費量は’10年までの10年間で約2倍に増加した。

「世界の石油需要はリーマンショックで一時落ち込んだが、’10年に過去最高の日量8738万バレルを記録し、今後も着実に増え続ける見通し」(柴田氏)

一方、世界で産出される原油の埋蔵量には限界があり、いずれ産出量が減少に転じるのは明らか。従来の原油よりも高度な抽出技術が必要なオイルシェール(油を含む岩石)や、コストのかかる超深海油田の原油を採掘しなければ世界需要を賄えそうにない。

「オイルシェールや超深海油田の原油の限界採掘コストは1バレル100ドル前後といわれています。これらが従来からの原油に取って代わるようになれば、原油価格は1バレル100ドル以上が世界の常識になるはず。個人的には数年後に120〜150ドルまで上昇すると見ています」(柴田氏)

需給のバランスが原油価格決定に大きく影響するのは間違いないが、短期的な相場を動かす要因として、投機マネーの存在も見逃すことはできない。リーマンショック直前の’08年7月にWTIが過去最高値の147ドルを付け、日本でもガソリン価格が高騰したのを記憶している人が多いことだろう。

仮に米国が今後、追加的な金融緩和措置を取った場合、市場に大量の短期資金が溢れ出し、原油価格が急激に上昇したり、乱高下を繰り返したりする可能性もある。

柴田氏は「欧米の景気二番底懸念や中国での急激なインフレの進行など悪材料が多いので、年内は80〜90ドル台でもみ合うのではないでしょうか」と予想する。

ただし、「カダフィ政権の崩壊が今後、中東・北アフリカの民主化運動にどう影響を及ぼすのかに注目したいところ。リビアの勝利に勢いづいて、各国で再び『アラブの春』と呼ばれる騒動が燃え広がるかもしれません。そうなったら原油価格は大きく跳ね上がる可能性もあります」(柴田氏)。

また、原油にはドル建てで取引する投資商品が多いが、ドルと原油の値動きは逆相関の関係にあり、ドル安が進むと原油は上がりやすい。超円高のいまは原油投資を始めるのにチャンス到来かも?




柴田明夫氏

丸紅経済研究所所長。’51年栃木県生まれ。’76年東京大学農学部卒業後、丸紅に入社。’01年に丸紅経済研究所主席研究員。’06年から現職。農林水産省「国際食料問題研究会」「資源経済委員会」などの委員を務める