市場低迷の今「積み立て」が強い理由



具体的な商品選びに入る前に、ひとつ頭に入れておきたいことがある。それは「積み立て投資は値下がりに滅法強い」ということだ。

金融商品は「安く買って高く売る」が従来のセオリー。そのため、せっかく積み立てを始めても、価格が下がり続けた場合は「このまま買い続けても意味がない」と積み立てをやめてしまう人が多い。これは大きな間違いである――と指摘するのは、積み立て投資研究家の星野泰平氏。

具体的にシミュレーションしてみよう。例えば、図Aのような値動き(7年間で5分の1まで価格が下落。その後3年かけて、スタート時の半値まで回復)をする金融商品に、毎月1万円ずつ10年間積み立てを続けると(積み立て総額120万円)、資産はトータルでいくらになるのだろうか。「120万円が70万円くらいに減ってそう」と思った人が大半ではないだろうか。だが驚くなかれ。正解は「139万円」。スタート時の半値になっても黒字が出ているのだ。

「積み立て投資とは、『毎月○万円を積み立てる』のではなく、『毎月○万円分の金融商品を買う』ということ。そこには〈口数〉という要素が絡んできます。金融商品の価格は常に変動していますから、毎月購入する口数も変わってくる。毎月1万円ずつ買うとすると、金融商品が1口1000円のときは10口しか買えませんが、500円のときは20口も買える。この『価格が下がるほど、多くの口数が買える』という点がポイント。口数を多く持っていると、少し値上がりしただけでも資産の総額がバーンと膨らむのです」(星野氏)

もちろん、価格が右肩下がりのままだと損は膨らむばかりだが、いったん底をついて上昇を始めれば、回復はすばやい。下がり続けている段階で積み立てをやめるのがいかにもったいないことか、おわかりいただけただろうか?

ついでにもう一つシミュレーションを(図B)。5年間で5分の1まで下落し、10年後にスタート時の価格に戻った金融商品に、毎月1万円、10年間積み立てていたら? 答えは241万円。リバウンド効果で、積み立て総額の2倍以上になっているのだ! 

これぞまさに「積み立て投資の魔術」と言えるのではないだろうか。


初心者必読!積み立て投資のルール



始めどきを気にするな

積み立て投資に「安く買って高く売る」というセオリーは通用しない。底を見極める必要はないので、明日から始めても問題はない。早く始めれば始めるほど、保有口数が増えるので、価格が上昇したときのリターンも大きくなる。


ほったらかしが基本

積み立て投資では、価格が下がっているときこそ「同じ金額で多くの口数を買える」タイミング。そうは言っても「自分が買ったときの価格」にこだわってしまうのが人間。価格が下がっていたら「やっぱり積み立てやめようかな」と考えてしまうこともある。したがって、証券会社のサイトで現時点での評価価格をいちいち確認したりしないほうが精神衛生上よい。自動引き落としは必須

毎月の買い付け代金は、銀行口座から自動引き落としにするのがポイント。何より手間がかからないし、「ムダ遣いしてしまった分を補塡するために、投資用の資金に手をつけてしまう」というありがちな失敗を防ぐことができる。マネックス証券やカブドットコムなど、主なネット証券会社のほとんどは自動引き落としに対応(楽天証券は楽天カードからの決済という形で対応。SBI証券は未対応)。


コストが安い商品を選べ

金融商品を買うには販売手数料がかかる。さらに、投資信託などでは信託報酬がかかる。長期で運用することを考えると、毎年かかる信託報酬はバカにならない。パフォーマンスが共に年7%で、信託報酬が0・5%の商品と、信託報酬が1・0%の商品に、それぞれ毎月5万円、30年間積み立てたときの総資産には、500万円もの開きが!

信託報酬はなるべく安く。「ノーロード」と呼ばれる手数料ゼロの商品だとベター。



星野泰平氏

証券会社勤務を経て、若年層の資産形成に適した「積み立て投資」の研究に従事。検証件数は10万回を超える。著書に『半値になっても儲かる「つみたて投資」』(講談社+α文庫)