いま「買うべき」「避けるべき」商品を先読みする




震災後、多くの人が感じた将来への漠然とした不安。なかでも個々のマネープランについてはどう考えればいいのか?海外マネー、為替、株価などの各指数がどう変動していくかを踏まえつつ、各ジャンルの専門家に「攻め」と「守り」、2つのマネー戦略を提示してもらった。





【REIT】緩やかに上昇するREITはどんな戦略で臨むべきか?



REITとは、投資家から集めた資金を、オフィスビルなどの不動産で運用し、賃貸収益や売却益などを配当金として投資家に分配する不動産投資信託のことだ。証券取引所に上場されているので、株式を売買するのと同様に取引できる。そんな不動産で運用するREITは、今回の大震災でどんな影響を受けたのか?

「震災前に約1100ポイントだった東証REIT指数は、震災翌週の3月15日に926・83ポイントまで下落しましたが、ご存じのとおり日銀が、震災対応で一段の金融緩和を実施。REITを含むリスク資産の買い入れのための基金を5兆円程度積み増すことを決め、’10年10月に打ち出した500億円規模の買い入れと合わせて、総額1000億円規模のREIT購入枠を設けました。しかも、これまで日銀は買うと言いながら、ほとんど買っていなかったのですが、震災当日から連日REITを買っていたことが下支えになり、個人投資家にとっては買いの安心材料になりました。そのおかげで指数は急激に回復し、6月初旬現在では1050ポイント前後をウロウロしています」とは、アイビー総研の関大介氏。この日銀の下支えが明確になったことで、外国人投資家の買いも呼び込んでいる。今のREIT市場の上昇を支えているのは、日銀と外国人投資家というわけだ。

もう少し長期で見た場合、どういった状況にあるのだろう。

「REIT指数を過去5年で見ると、’07年のサブプライムショック前には約2500ポイントあったのが、サブプライムショック、リーマンショックを経て700ポイント台にまで下落しました。それが緩やかな回復傾向にあるといったのが現状。利回りの面で見れば、リーマンショック前の水準には戻っています」(同)

つまり市場は、緩やかながら上昇途中にあるということだ。

「加えてアメリカのREITの利回りは、アメリカ国債の利回り以下まで低下(価格は上昇)しています。日本の場合、REITの利回り>国債の利回り。日本のREITは、外国人投資家から見れば魅力的な商品なんです」



REITは地震に強い物件にしか投資しない



ところで地震の直接的な被害はもちろん、津波や地盤の液状化など、今回の震災でREITが投資する物件に被害はなかったのか?

「結論を言えば、地震で倒壊したなどの被害を受けたREIT物件はありません。また、もともと東北地方には少ないということもありますが、津波の被害を受けたものもありませんでした。どちらかというと、沿岸部よりも仙台市内に物件が多かったこともあるでしょう。液状化の影響を受けた物件も少しはあったのですが、建物が傾いたという規模ではなく、地面に段差ができた程度。ただし、浦安のホテルを持っているREITが、ディズニーランドの休園で収益面での影響を受けたというのはありました」

話を聞いていると、今回の震災では偶然、被害がなかったように思えるが、今後また同クラスの地震が起きることが考えられるならば、REITにとってはネガティブではないのだろうか。

「もちろん津波のように、偶然ですまない被害も考えられますが、本来REITが投資する物件は耐震性をかなり重視しています。そもそもREITは、建物がボロくても収益が上がるような物件に投資しているのではなく、耐震性があることが前提で、その中でも収益性が高い物件に投資しているのです。

ただし、当然ながら沿岸部にも物件を持っているので、東京直下型地震でも起きた場合は、津波の影響も考えられるでしょう」

それ以前に、仮に東京直下型地震が起きた場合、外資系企業が撤退を始めるだけでなく、東京に住む人も大きく減少するはず。そうなれば、仮に建物は地震に耐えられても空室が増え、REITの収益は悪化するだろう。


関 大介

アイビー総研代表取締役。J-REITに関する調査及び分析や、不動産投資・証券化に関するコンサルティングを行う