「挑戦と規律」を理念に業界をリードしてきた
マネースクウェア・ジャパンに聞く


FX投機から投資の時代へ。



今年8月、レバレッジの上限が25倍になり、FXは新たな時代へと突入することになった今、個人のFXトレーダーはリスクを可視化し、時間を味方につける戦略が大事になってくるという。「トラリピ」の利用者が急増し注目度が高まっているマネースクウェア・ジャパンの新社長に就任した相葉氏に聞いた。





FXの未来を常に先取りしてきたM2Jが目指す、新たな "標準"


――円高が急進したり日銀の介入があったりと、社長就任早々に市場が大きく動いています。

【相葉】 介入があった8月4日は、お客様の1日の利益確定金額がマネースクウェア・ジャパン(M2J)の創業来、過去最高になりました。

――円高が急に進むと、円を売って外貨を買っている投資家が大損するという印象もありますが、M2Jでは逆だったんですね。

【相葉】 もちろん、今回の円高で損を出された方もいます。しかし、当社では低レバレッジで運用している方が多く、さらに「76円を割ったら損切り」のように、ある程度、損失額を計算したうえでやっている。だから相場が急変しても慌てず、逆にいいチャンスになっているようです。当社のトレード画面では、そうしたリスク管理のシミュレーションツールがありますから。

――もともとFX自体、相葉社長と山本前社長が日本で初めて商品化したそうですね。



現行のスワップ制度の生みの親だった!


相葉 '99年のことです。そのときFXを日本仕様に変えたんです。一番大きいのはスワップを“現金化”したこと。今のスタンダードである、スワップの損益だけを日々現金として口座に反映させる形にしたんです。

――海外のシステムだとスワップの損益が建値に反映されるのが一般的ですよね。

【相葉】 例えば2銭のスワップの場合、78円で買ったものが翌日には77円98銭と、スワップの分だけ建値がよくなります。しかしこれだと、「78円で買ったはずなのに、報告書では77円98銭と書いてある」と、投資家が混乱してしまいます。ですから建値はそのままに、スワップだけを“現金化”し、日々、証拠金残高に反映させるようにしたんです。それが今では当たり前のようになっています。また、昔は商品先物のように「限月制」のFX会社もありましたからね。私たちはいち早く現在のような「ロールオーバー制」にしていました。

――とっつきづらい印象のある限月制だと、FXがここまで普及しなかったかもしれないですね。

【相葉】 当時もここまで普及するとは思っていませんでした。FX業界全体での預かり証拠金残高は、もうすぐ1兆円に届くところまできています。来年から店頭取引と取引所取引の税制の違いも解消されますし、FX会社自体のサービスで業者を選ぶという流れが一層強まると思います。

――そのなかで強みとは?

【相葉】 お客様とは長いお付き合いをしていきたいですから、投資家教育を何より大切にしています。投資家にFXの仕組みやリスクを理解してもらって、そのうえでうちを選んでくださいというスタンスです。何もわからずにFXを始めてお金を失っても、失ったお金は返ってきませんし、FXに嫌気がさしてしまいます。でも、きちんと理解していれば、負けても「次で挽回しよう」ともなります。

――だから円高が進んでも慌てず、むしろチャンスにできるんですね。これからFXを始めようという人は何から勉強すればよいですか?

【相葉】 今、日経CNBCで『FXアカデミア』というFXの仕組みを解説する番組を放送しています。その番組や、わかりやすい動画が当社のホームページで見られるので、そこから始めてほしいですね。

――セミナーなどはいかがですか。

【相葉】 やはり一番大事なのは、顔を見合わせて話すこと。当社ではwebセミナーもやっていますが、東京・お台場にセミナールームがあるので、時間のある方は会場セミナーを受講してもらうのが一番です。





忙しい個人投資家の強い味方が「トラリピ」


――投資家からすると、信頼性もFX会社選びのポイントの一つかと思いますが。

【相葉】 当社もそうですが、株式市場に上場していると、上場するために社内の体制を整備したり、情報を開示しないといけませんから、透明性は高いと考えていいと思います。情報が未開示だと裏側で何が行われているかわからず不安もありますよね。あとは、自分に合ったトレード手法ができるかどうかも、大きなポイントだと思います。

――M2Jの代名詞のようになっている「トラリピ」は、御社でないとできないですよね。

【相葉】 投資家がサラリーマンや主婦として普通に生活し、家族との時間も大切にしつつ投資できる手法はなんだろうと、常に考えています。トラリピもその一つ。個人投資家はプロのディーラーや機関投資家と違って、「いつまでに、いくら儲けなければいけない」という縛りがありません。時間を味方にして、トラリピなどの自動発注サービスでコツコツと運用するのが一番だと思います。

――トラリピが1000通貨単位で取引できるようになり、利用者も増えたのではないでしょうか?

【相葉】 1000通貨で使いたいという要望は以前からかなり強くありました。実現するにはシステムの設定など裏側でやることがたくさんあり、数か月かかってしまいましたが、1000通貨取引の導入で注文量も取引金額も爆発的に増えている感があります。

――今後、目指していく方向は?

【相葉】 当社の企業理念は「挑戦と規律」です。いいものであればどんどん市場に提供していきます。それはFXに限った話ではありません。個人投資家に妙味があるものであれば、FX以外の金融商品を投入することもあるかもしれません。だから社名に「FX」とは入っていないんです。



M2Jから、続々と業界標準が生まれる


――「規律」というのは?

【相葉】 私たちは「規律」をあえて「スタンダード(標準)」と英訳しています。そして、私たちは3つのスタンダードを目指しています。1つ目は「高い規律」で、2つ目は「業界標準」。8月からレバレッジの上限が25倍になりましたが、私たちは数年前まで最高レバレッジが約17倍で運営していました。もともとFXを投機にしてはいけないと思っていました。だから、私たちの考えている標準が法整備化されてきたことは大変うれしいことだと思っています。スワップもそうですし、お客様資産の全額信託保全についても、法制化される6年前から私たちは実施しています。これからも業界の標準化に貢献していければ幸いです。

――3つめのスタンダードは?

【相葉】 グローバルスタンダード、「世界標準」です。アメリカに現地法人を設立していますし、私たちのやり方に合う進出先はどこかを探しているところです。

――トラリピの海外での反応はどうなんでしょうか。

【相葉】 いいですね。短期で切った張ったのトレードをすると、どうしても負けやすい。トラリピは感情を排除した自動発注手法ですから、パフォーマンスでは納得していただいていると思います。

――トラリピが世界標準になるかもしれないですね。

【相葉】 忙しい人の味方になるような注文方法など、トラリピのような新しいサービスは次から次へと出していく予定です。それを新たな業界標準にしていきたいですね。


※※脚注※※

限月制

オプション取引や先物取引などのように、取引に期限がある制度のこと。オプション取引は毎月限月がある。

ロールオーバー制

限月制の場合、期限が満了となる最終決済日にポジションはすべて消滅してしまうため、その前に当限月のポジションを次の限月に乗り換える行為。

税制の違い

同じFXでも、利益に対する税率が取引所取引では一律20%だが店頭取引では累進課税となり、所得の高い人ほど店頭取引では高い税率が課せられていた。来年度からはどちらも一律20%に。

『FXアカデミア』

FX会社が手掛ける初の本格的な投資家教育プログラム。「学長」は相場予測に定評のある吉田恒氏。セミナーや動画を通じて、FXの仕組み解説や市況予測など個人投資家の啓蒙を行う。

トラリピ(トラップリピートイフダンⓇ)

同じ価格帯で上下動を繰り返すことが多い為替市場の特性を利用して、レンジの中で複数のイフダンを仕掛け(トラップ)、しかもそのトラップを何度も自動で繰り返すリピート機能を併せ持つ自動売買的な発注機能。マネースクウェア・ジャパンが特許を取得済み。







相葉 斉氏

三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)出身。今年6月、マネースクウェア・ジャパン代表取締役社長に就任した。'98年にFXに開眼。FX創成期から現ビジネスに就き、業界のあらゆる歴史を知り尽くすパイオニア的存在