サラリーマンをしながらの兼業トレーダー。法人化するメリットはあるの?



専業トレーダーや自営業の場合の節税メリットはわかった。が、サラリーマンがFX法人を設立する場合はどうなるのか?

「複数の会社からの給与に対して給与所得控除を受けることはできません。サラリーマンの場合、すでに勤め先の給与に給与所得控除が適用されていますから、会社を辞めない限り、控除を受けることはできないのです」(薄木氏)

とはいえ、サラリーマントレーダーにもメリットが。法人なら、個人では認められないような交際費やクルマの購入費などを経費として計上できる。諸経費を収益から差し引けば、所得をゼロや赤字にすることも可能。FXで利益を上げても、その分の税金を払わずに済ませることもできるのだ。

「しかも法人は赤字を7期にわたって繰り越せます。前の年までに赤字があれば、その赤字額と利益を相殺して、所得を減らすことができるんです。また、同じ法人でFX以外の事業もしている場合は、その損失を合算して利益を相殺することもできます」(薄木氏)



いいことがあれば、悪いこともあるはず!法人化によるデメリットは?



まず、法人設立にはそれなりの費用がかかることを覚悟しておこう。資本金1円から設立できると言っても、「FX業者の中には、法人口座開設の条件として資本金100万円以上としているところもある」(薄木氏)とかで、安易な1円起業は考えたほうがよさそう。

そのほか、定款の認証料、定款に貼る収入印紙代、設立登記のために納める登録免許税など、さまざまな費用が発生する。株式会社の場合で定款の認証料が5万円、登録免許税15万円。

「手続きを行政書士などのプロに頼んだ場合、さらに数万円の報酬を支払わなければなりません。法人設立後も、決算書づくりや税務申告を税理士に頼めば年間数万円のランニングコストがかかることになります」(薄木氏)

さらに、利益が上がらなくても、年間7万円以上の法人住民税はかかる。さらに個人事業主から法人になったことで社会保険料が必要となるし、事務所を借りればその家賃、人を雇えば給与といったように持ち出しも生じる。こうしたランニングコストを賄えるだけのコンスタントな収益が見込めなければ、お金はどんどん出る一方となってしまう。



ズバリ!
法人化に向くトレーダー/向かないトレーダーの違いはなあに?



『去年は1000万円稼いだけど、今年は赤字』といったように、収益にばらつきのある人は法人化には向いていないかもしれません」と薄木氏。

赤字が7期繰り越せるとはいえ、まったく収益が上がらないのに、毎月多額の社会保険料や地方税を支払うのは相当しんどい。首が回らなくなって泣く泣く会社を畳むケースも珍しくないようだ。

「サラリーマンを辞めて法人化したいという相談も多いのですが、安定的な収益が得られないうちに独立するのは非常に危険です。まずは自分のトレード手法をしっかりと確立して、コンスタントに稼げるようになってから独立を考えるべきでしょうね」(薄木氏)

しかし、すでに説明したように、法人化はFXも副業も実業もすべての利益・損失を合算できる。FXの収益は不安定でも、その他の副業でコンスタントな収益が見込める人なら、それらの事業をひっくるめて法人化する手もある。

そう考えると、法人化を視野にいれるべき兼業トレーダーも少なくないのでは。

では、次回からは夢の社長への道、法人設立の方法について説明していこう。


薄木伸作 氏

行政書士・FP技能士。1965年大阪生まれ。自身の独立経験から起業の面白さ、大変さを実感し、積極的に応援中。『会社設立&海外口座でハイレバFXトレード』(双葉社刊)を監修